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HAL4550

ザルツブルグ

トロバトーレ





元々予定には無かったが、いつか行きたいと思っていたザルツブルグヘ来た。切っ掛けは簡単で真ん中の14日が丸々空いたからである。三日連続でワーグナーも良いかと神々の黄昏のチケットを取るつもりでいたがウィーンのチケットオフィスにメールするとザルツブルグの最上席が二席空いたとオファーが来た。ザルッブルグ音楽祭の目玉でトロバトーレのレオノーラをアンナ・ネトレブコがやると云う、それにオケは当然ウィーンフィルでノセダの指揮、最初はルナ伯爵でドミンゴも出るとかカフマンもと云われていたので神々の黄昏は諦めて俄然ザルツブルグへ興味が移った。ルナ伯爵をドミンゴは降りてカフマンはドタキャンと舞台が始まる前に申し訳なさそうな案内があったのは残念だった。


話を元に戻すと、トリスタンの幕間にウィーンへ携帯メールで予約したのは心配だったが、最終的にザルツブルグ祝祭歌劇場のオフィスにチケットを預けることで解決した。これは今までとは違う女の子が担当してくれたのでスムーズに進んだ。価格は表示価格430EUがプレミアで900EUで手に入った。最も取り難いザルッブルグのチケットが前日に二倍のプレミアで取れたこと自体が奇跡である。ザルツブルグヘ着くまでが半日仕事で時刻表通りだと五時間で着く筈がバスを乗り継ぎアウトバーンを走り列車に戻り七時間近くかかった。ホテルは駅の横のRAMADAホテル、先にチェックインして着替えてタクシーで15分ザルッブルグ祝祭歌劇場についた。


ザルッブルグは大きな街で都会的な喧騒と観光地の賑わいが同居する処でバイロイトとは正反対の街である。祝祭歌劇場も町中にあり観光客も多い、最もチケットが取り難い劇場である事も理解できる。チケットの受け取りに指定された夜間オフィスは十九時五十分にならないと開かないそうだ、それまで三十分あるのですぐ横にある1890年創業のNiemetzに入った、歌劇場に入る人達の溜り場のようだ。お薦めはと聞くと珈琲とザッハトルテと云うので名前だけは知っていたバッハトルテ、簡単に言えばホイップクリームを添えたチョコレート・ケーキを無理して完食した。それを見ていた上品な年配の女性(男連れ)に笑われた。帰り際に会釈すると会場でお会いしましょうと話しかけてくれた。


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二十時半からトロバトーレが始まった。満席である、一席も空はない。私は良い席だったが左右を小錦二人に占領された感じで超デブに挟まれてしまった。ザルッブルグも横に広い劇場で奥行きはそれほど無いように思える。それでもキャパシティは50x50の二千五百席ぐらいだろうか、通路もスロープの傾斜がついていて歩き難い。

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ノセダはMETで何回も聴いているのでお馴染みであるがウィーンフィルを振るとは思わなかった。明日はムーティとオッターがバィヨリン協奏曲をやるらしい。海外演奏会の初心者が多いようだ、私が会場で話をした夫婦も初めてという。誰でも最初は必ずあるものだから最初がザルッブルグとはラッキーな人々だ。劇場で目を引くオケピットだが随分狭くて浅い、背の大きい人や楽器がピットからこぼれている。コントラバスが五本で素晴らしい低音弦を聴かせてくれる。トロバトーレとは吟遊詩人マンリーコのことでMELI、ルナ伯爵はArtur Rucinski、ジプシー女のアズチェーナはSemenchuk、そしてレオノーラはAnna NETREBKOであった。演出は例にもれず奇抜なもので大型の絵画が壁となって舞台中を動き回る。アズチェーナは素晴らしいメゾで美声を披露したが逆に演出の問題点をさらけ出すことが不満であった。最初の場面から美術館をフランス人団体が動き回り、途中で中世の服装へと変わるので想像がついて行けない。辛うじて聖母子像や子供の絵が四枚揃ったところでアズチェーナが歌いだすルナ伯爵の弟とジプシー女の子供を取り換えて焼き殺された場面を表現していることが分かった、必然性は勿論ない。



話をウィーンフィルに戻すと、いつものウィーンフィルとは少し違って音に一段と張りがある、柔らかい弦のイメージであったが鋭さとしなやかさを併せ持つことがウィーンの特徴であることを改めて知った。トロバトーレの管楽器の良さもはっきり出ている。前日のバイロイトのトリスタンと比べても良い勝負だ。バイロイトとの違いは観客にある。ウィーンでも目にすることであるが、アリアのあと直ぐに拍手が鳴り止まないことである。苦い顔で絶対に拍手をしない人々も大勢いるが拍手によって音楽の進行を止めていることに気が付かない観光音楽ファンには困ったものだ、バイロイトには観光客が来ないので絶対にそのようなことは在り得ない。ちゃんとマナーを弁えている者たちが集まるのがバイロイトであることがよく分かる。マンリーコ三幕のハィCは歌い切らないうちから拍手の渦であり、拍手が終わらないからNosedaも音楽を先に進められない、でもみんな分かっているからじっと待ってくれている。

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途中休憩一回をはさみ零時には終わった。休憩の様子がMETやスカラとは違う、シャンパンやワインを片手に表の通りまで、ポワイェに居る人は無くみんな表の通りで風に当りながらおしゃべりに花を咲かせている。ザルツアッハ川に吹く風が通りを抜けて歌劇場にも流れてくる。八月の暑い夜を吹き抜ける涼風である。バイロイトの森を抜ける風とは比べ物にならないが僅かな風を求めて人々は歌劇場前の通りに抜け出るのである。今回も体は物凄く疲れているが感覚は妙に鋭くなっているのに気が付く。ものの本によるとザルツ(塩の)砦ということのようだ、昔から産出される岩塩をヨーロッパ各地へ運ぶ川がザルツァッハでその通行税を大司教が集め街を支えていた、そういうところでモォツアルトは産れ、ここで二十五歳まで育った。残念でもないがそのような類の観光地は一切行かないので知る由もないのだがインターネットのお蔭で知識は増える。

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ライトアップされた城壁や狭い岩肌に寄せ合って立っている旧市街地は青緑色で美しい。結局何処にも行かず列車でバイロイトへ戻ることになる。せめて、チョコレートだけは土産でも買おうかと思う、バイロイトには土産らしいものは何にもない、そこが良いのだが。ザルッブルグはお土産に事欠かない。   続く









# by hal4550 | 2015-08-27 06:00 | その他

トリスタンとイゾルデ





ARVEANAホテルに真夜中に着いた、チケットは約束通りホテルに届いていたから安心した。280euを990euで買ったのは複雑な気持ちであるが、トリスタンが良く買えましたねと翌日の朝食バイキングで知り合いになった日本人たちから羨ましがられた。彼らは八年待ったそうである、それが四倍近くとはいえ買えたことは嬉しい。ホテルのインフォメーションボードにもチケットを売りたいと書いてある。正規料金で買うなら祝祭歌劇場の左手チケット・オフィス、ここはキャンセルになった僅かなチケットを当日分に限り13:30から売り出す。ここもプロの並び屋はいるが可能性は皆無ではない、根性があればチケット求むのカードをかざして二時ぐらいから待てば買えないことはないだろう。安く買えるか高く買わされるかは腕次第、ホテルで買うのが一番確実だろうがホテルは一切仲介しない当人同士の直接交渉、何れも本当に余っているのではなく転売を前提にしたシンジケートのチケットなので高く売ろうとするから座席表を持参して確認しながらの交渉が功を奏するかも、必ず現金現物引換えにすること。

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ぐっすり眠りバイキングの朝食を食べに降りて、そこで知り合った日本人夫婦と情報交換で昼食をご一緒する約束をした。それまでにパソコンの部品を買いに近くのメディアマートに行ったり、祝祭歌劇場まで下見に歩いて行った。地図をもらっていたが尋ね歩いて行ったので三十分程かかったが街並みが新鮮でとても楽しかった。アプローチの道から上方を見ると祝祭歌劇場の屋根が見える、途中にモネの睡蓮の池を模して作ってあるのは笑ってしまった。楓の街路樹のアプローチはそよぐ風がとても心地良かった。段々劇場に近づくと写真で見覚えのある風景が見える、とうとうバイロイト祝祭歌劇場に来たと云う実感が湧いてきた。直管トランペットで入場開始のファンファーレが鳴るバルコニーもある。

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建物が奇麗過ぎて不思議な気がした、暫くすると外灯も横に付いていたので初めて写真であることに気が付いた。外壁修復中で巨大な実物大の写真を貼り付けてある、さすが祝祭歌劇場である精巧な修復中の壁は見たことがない。ワーグナーの銅像前でデンマーク人のグループと話をしている内に十一時からトリスタンの事前説明会があると教えてくれた。チケットを提示するだけで入場できると云うので入ってみた。祝祭歌劇場の中は素晴らしい、横に長く奥行きは50列ぐらいか縦も40列ぐらいありそうだから二階の座敷牢を入れても2,300席がキャパシティだろう、結構大きなホールである。説明はドイツ語である、舞台の間口は真四角で初めて見る様式でワーグナーしかやらないから問題は無いのだろう。説明会には数百人が集まっていた。ドイツ語は全く分からないがトリスタンのことワーグナーのことは良く知っていたのでかなりの部分が理解できた、それでも一割ぐらいであるが舞台を見るうえで大切な情報を知り得た。

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12時半にoskarと云うレストランで約束した夫婦と会った。旅先で袖触れ合うも多少の縁と云うが食事をしながら色んな話をした。オペラの話は勿論だが仕事の話、子供の話、この年にならないと出来ない話はいくらでもある、話は尽きないが4時に祝祭歌劇場に着くためには2時までにはホテルに帰った方が良いと云われ夫婦と別れた。彼らは土産を買いに横のデパートによると云う。



夕方と云っても四時だとまだ陽は高く気温も30℃は超えているが日本のように暑く感じないのは湿度であろう、正装ではないが蝶ネクタイを締めて祝祭歌劇場へタクシーで向かった。ホテルからのバスも出ているそうだが面倒なのでタクシーを呼んでもらった。ごく僅かであるが正装の男性もいるが概ね自由な服装である、可笑しいのはちんちくりんの日本人が正装した姿である、本人は到って真面目に用意したのであるが似合わない、知ったかぶりしてガイドブックの受け売りはやめた方が良いと実感した。礼を失しない限り何でも許される、自分に似合う格好をしようと思った。ホテルを出る時に猿廻しを見て慌てて部屋に帰り金ボタンのブレザーにアイボリーのパンツを合わせた、リスボンで誂えたエメラルドグリーンのドレスシャツに蝶ネクタイは自分でも似合うと思っている、あるいは猿廻しに見えたかも知れない。

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テイレーマンの演奏は良い、バイロイトを上手く手なづけている。これが指輪だったら物足りないだろうがトリスタンなら丁度良く素晴らしい。いろんな人に今年の指輪の話を聞くと、ペトレンコの指揮は素晴らしかったそうである、残念なことペトレンコは2018年からラトルの後を継いでベルリンフィルの常任指揮者になることが発表されたからバイロイトは今年限りと云うことらしい。

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バイロイトの席はスロープになっていて通路は傾斜が付いている。オケピットは深く席からは見えないが音楽は上に立ち伸びる、特にワーグナーの金管楽器は素晴らしいものであった。勿論、弦も素晴らしく少々粗目であるがコントラバスのアルコは凄かった、ワーグナーらしく空気がそよぎ驚く。

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演出はマリック・エッシャーのだまし絵階段をモチーフに大道具で作った複雑な構造の可動式だまし絵階段である。残念ながら写真は撮れないのでネットで絵を拝借した。無限ループを使いながら愛情の破局は階段が突然落ちて行き来が出来なくなった様子を表現していた。大掛かりな舞台仕掛けを使った演出はとても楽しい。ソリストのトリスタンもイゾルテも良かった、マルケ王は若者で威厳に欠けるが歌唱は素晴らしかった。

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悪評の堅い椅子はやはり辛いし冷房は無い、時折森を渡ってくる涼風が涼しく感じるのもバイロイトならではである。途中二度の休憩はシャンパンを楽しみ、日本人夫婦とも話をした、多分ニューヨークであれば話しかけもしないだろうがバイロイトと云う所がそうさせるのであろう。みんな大変な思いでチケットを手に入れていることが分かり慰めあっている。たいがいは八年待ちと云うので280EUの席を990euで買うのはそれ程高い買い物ではないと云う気になってきた。ところでどこでもあるテキストの表示は無い、ドイツ語すらなくてブックを買わないとメロディだけが頼りである。ドイツ語以外のアナウンスもなくて推測するしかない。四時からスタートして十時半までの長丁場よくぞ耐えたと思う。これを指輪で四日連続私には修業が足りないので無理、早速ザルッブルグのチケット獲得に動いた。座布団持参の人も多い、終わってみれば暑さも椅子の堅さも気にならなくなったが兎も角ザルツブルグヘ行くことにした。ザルッブルグは八時半のスタートだからゆっくりでも間に合う、と思ったのが間違いだった。国際時刻表の読み方を知らなかったことに原因があるのだが、続きは後で書く。

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# by hal4550 | 2015-08-26 06:00 | 演奏会

バイロイト音楽祭とザルツブルグ音楽祭





わずか四日間で二つの伝統ある音楽祭を観れたことは幸せである。五味康祐が愛したバイロイト、瀬川冬樹が憧れたバイロイト、ワーグナーを聴く者が一度は訪れてみたいドイツの田舎町である。バイロイトへ行きたいと思い始めたのは六月だった。直ぐにチケットを探すとオランダ人が一枚有った、プレミアムチケットで真ん中の良い席だが750euもする、躊躇しながら更に一週間後にはトリスタンとイゾルデが990eu邦貨14万円両方で二十五万円のプラチナチケットであるが、両方取れるならバイロイトへ行こうと思ってクリックした、問題はそれからで幾ら待ってもチケットは送ってこない、出発一週間前にようやくメールが届き席が決まったそうだ。チケットの受取方法についてホテルに預ける約束で出国した。今までの経緯を考えても果たしてチケットが届くか心配である。


バイロイト祝祭歌劇場

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ザルツブルグ祝祭歌劇場

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フルフラットシートで快適にフランクフルトに到着、予め調べておいた、フランクフルト->ニュルンベルグ->バイロイトの電車が無いと云う、取れたチケットは三回乗り継ぎでバイロイトに付いたのは二十三時過ぎであった。途中、車窓の景色は二十一時だというのに太陽はまだ沈まない北欧の白夜というのも想像できる。兎も角ホテルまでタクシーで行きチェックインするや否や何か届いていると聞くとチケットが届いていた。席は別にしても音楽祭に行けることが叶った、いざとなれば当日券やダフ屋から或いはホテルで買うことが出来ると踏んでいたのだが、これで安心。


南ドイツの鉄道地図

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バイエルン王国の首都ミューヘンから二百キロ離れたバイロイトは小さな街である。ルートビッヒに庇護されたワーグナーが晩年を過ごした地でワーグナー音楽演奏の完成を築き上げた処である。王宮もあるが辺境伯爵の歌劇場とバイロイト祝祭歌劇場があるだけでワグネリアン以外には興味を持たれない田舎町である。街も緑が多く歩いて三十分で廻れる本当に何にも無い街であるが七月末から八月末までの一ヶ月間は世界各国からワーグナー崇拝者達が集まる。毎晩ワーグナーのオペラだけをやっている、まさにワーグナーが望んだ理想郷である。とくにパルジファルはこの祝祭歌劇場のために作曲されワーグナーの死後三十年間はこの地以外では演奏を許されなかったと云う。



泊まったホテルはワーグナー協会の会員が大勢泊まるホテルで沢山の人と話をする機会があった。皆さんチケットには苦労しているらしく八年待ちというので驚く、もっとも一年前に残りのチケットが売り出されるので可能性はあるだろうが大変な事らしい。それと指輪の指揮者でペテレンコ、私は初めて聞く名前だが2013からバイロイトで振っている若手指揮者の評判が良い、それも2018年からベルリンフィルの常任指揮者になるから今年が最後と騒いでいる、三年も先の話にワグネリアン達は興奮している。演奏会は先に書いた通りとても良かった。色々物知り顔で演出を批判する人は多い、指輪の演出も型破りだったらしく、ブリュヒンデが最高音を外してがっかりしたという人もいたが音楽はその一瞬だけでは無いのでがっかりすることもあるまい。


バイロイトの観光地図

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ザルツブルグも列車には苦労した、バスを乗り継ぎ列車を乗り継ぎ開演二時間前には着いたのでゆっくりザッハトルテを楽しめた。しかし、これが唯一のザルツブルグでの食事であったことは残念だった。演奏会も素晴らしく、世界一取り難いチケットと云うのも納得できる。ウィーンのニューイャーコンサートも同様だろうが、金さえ出せば方法は幾らでも有ることが分った。バイロイト音楽祭はバイロイトの良さがありザルツブルグ音楽祭はウィーンの良さがある。両方続けて聴いてその良さが分った。ザルツブルグ音楽祭は観光客が多すぎるのでじっくり楽しめたとは云えない、マナーの問題である。写真もフラッシュを光らせてお構い無しである。ただテキストを英語で表示してくれるのは助かる、バイロイトはそのようなサービスは一切無い。


ザルツブルグの観光地図

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来年もチャンスがあればバイロイトの拷問に耐えたいと思うのはワグネリアンの性かも知れない。最後に気が付いたことであるがドイツはいまでも一つの国家ではなく数多くの自治領からなる連邦国家である、ドイツは神聖ローマ帝国を基にバイエルン王国から近代国家を歩き始めたそうである。このへんはイタリアの国家形成と同じであるが近代国家として団結する意義を充分に知りえている事であろう。日本も江戸時代は自治領からなる国家であり世界的に近代国家の始まりは二百年ぐらいであると考えれば面白い。因みに中国は四百年前から単独国家として明清と続いたが不幸な出来事もあり近代国家として中華人民共和国が独立して七十年になる。










# by hal4550 | 2015-08-25 18:00 | 演奏会

iPhoneOS




iPhone6のOSを8.4に更新した。前回8.3に更新後からネットにつながりにくく、iPhone自体がすぐに熱を持つようになったので新しいOSが公開されたら直ぐに更新しようと思っていた。


8.4の変更点は分からないが更新して熱を持たなくなった、以前と同じになったことは良い。iPhoneを手で操作していても本体が熱くなり掌が気持ち悪かった、当然だが電池の持ちが悪く一日持たないことが多く充電器かバッテリーパックを持ち歩かなければならなかった。設定を絞り最低の機能で使って二カ月間不自由であったが、ネットにはこのような障害報告はなかったので自分だけのトラブルかと思った。キャリアをそろそろSに戻そうかと思っている。




# by hal4550 | 2015-07-13 15:27 | その他

秘密基地




子供の頃、僕等の間では秘密基地がはやった。小学校三年生から六年生になるまで、最初は家の軒下であったり、裏山の近場であった。年齢が上がるにつれ段々家から距離が離れて行った。秘密基地は段ボールで囲った簡単なものから最後は木の上に作るツリーハウスになった。マーク・トウェインのトムソーヤの冒険やハックルベリー、そして十五少年漂流記が秘密基地マニュアルになった。秘密基地だからその存在を教えてはいけない、十五少年漂流記に従い秘密誓約書を作り誓いを立て合言葉も決めた。



最後の頃は秘密基地にラジオを持ち込んだ、と云っても電気が来ていないので本当のラジオてはなく、村中に配線してある有線放送の柱から鉄線をつなぎ空き缶に針金のコイルをつくり耳に当てると音が鳴る。有線放送は50Vの送り出しトランスが付けてある、もちろん素手で触るとビリビリ来るし、それを直に耳に当てようものなら感電するのでナイロン袋をかぶせてナイロンを振動板と絶縁膜の代用にする。放送はNHKだけだが時折聞き覚えのある村の有線放送が流れる。秘密基地ごっこは中学に入るとピタリと止めた。あれは子供の遊びと自分に言い聞かせて基地を弟等に譲ると全く興味を失ってしまった。しかし、思い出してもワクワクする秘密基地ごっこであった。





懐かしい秘密基地に行った、子供の頃作ったような秘密基地であった。ワザと迷路にしたり覆い隠し見えなくするのも秘密基地の鉄則であるが、ここデビルJyajyao秘密基地はその要素がふんだんに取り入れてある。センサーで色んな仕掛けがしてあり、忍者屋敷そのものである、手裏剣が刺さっていても違和感はないだろう。その秘密基地の秘密を明かしてはいけない、なにしろ秘密基地だからと思いながら、ここを訪れた者達の全てが感じたとおりのことを私も感じた。許される範囲で秘密を書こうと思うが、些か前振りが長過ぎていつその秘密を書くのだと怒られそうである、実際はどのように表現しようかと書きあぐねていた。


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秘密基地で秘密のことを聞いてはいけないが時間を掛けて何気ない質問の振りをしてその核心へ迫った。先ずユニットの数は256個と合言葉も無しに簡単に自白した。チャンネル数は二十数チャンネルもぐもぐゴチャゴチャと誤魔化された、ここは多分秘密なのだろ、謎めいたところが良い。デジタル音源がメインであるという、全てをリッピングしてマックから制御する徹底した音源管理である。秘密基地にはCDの類が見当たらないのも秘密基地らしくて良い、リッピングしてオリジナルを売り払うようなことはしないところが意匠家らしい。秘密基地の何処かに隠されていると云う、だからこれと思うものをeBayで買ってリッピングして初めて同じものを買ったと気付くそうである。笑えない話であるが何処も同じである。




秘密基地のひみつの一つ、音像がぽっかりと空中で合成される、何と無く脳内合成に近い感覚であるがリアルなホログラム像の合成である。むかし何処かのブログで360度動くマドンナのCDが紹介されていた。すぐに買って試してみたが拙宅ではそんなことは全く起きなかった。しかし、いま思い出してみたらマドンナのあのCDをここで再生したらマドンナがホログラムで楽しめるのではないかと一瞬思ったが云い忘れてしまった。惜しいことをした、こんど秘密基地にご招待戴けるのなら是非持参したい音源の一つである。さて、そのホログラムであるが、全てがそのようなことになる訳ではない、ソースによっては中央から拡散したり収縮したり、左右のステレオ感ではない新しい概念の立体音像(ホロソニック)である。



ウエーブのリスニングチェアの場所をスイートスポットとして指定されたが、わたしには絶対的違和感がある。その場所では秘密基地の魅力のあるホログラム効果が望めないからである。だからわたしは耳の後ろには壁を作りたくない、ふと船首に飾られる舳先(BOW)に身を乗り出し波しぶきを直接浴びたい気がした。すると微妙な首の変化にホログラム音像(ホロソニック)がシャープに結像したり、アウトフォーカスになったり、正直に告白するとこのことは最初から分かっていた訳ではない。この愛の告白(映画タイタニックのデカプリオとケイト・ウインレストが愛の告白で船首に身を乗り出し腕を広げて波しぶきと風に髪をなびかせるシーン)を六十半端の男が周りに気付かれずにやってみた、その時私は舳先(へさき)のジャックとローズになった。


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舳先に乗り出すと微妙な感覚が蘇えってくる、フォーカス・シュリンク、ズームイン・アウト大雑把に書くと自由自在である、暫くは気付かれずに独りで楽しんでいたが、この秘密基地の最大の魅力はここにあるのではないかと思い始めた。256個のスピーカを手懐けることは尋常ではない、凄いと思っても決して自分ではやりたくない行為である。冷静に考えてみれば何故マルチ・チャンネルをやるかという動機に隠された本質のヒントが有るだろう、この核心を無遠慮に尋ねた。シンプルな答えで予想を裏切るものであった。気に入ったスピーカを最もピューアな部分だけ使いたい、振幅振動を最小に抑えたい、ピューアな音源を求める男の含蓄の籠った一言である。私はそこで全てを悟った、だからフイルムの巻き戻しでこのブログを書いている。多分いままでも同じ質問をしたひとは沢山居ただろう、このシンプルなピューアなサウンド以外を排除する引き算理論を正しく理解できた人は少ないだろう。ピューアな音のためには高調波を全て排除してしまう、我々オーディオ・ファイルが出汁のうまみ成分として大切にしている第三次五次高調波オーバトーンを綺麗に取り去ると云う一見愚行の結果で256個のスピーカが必要になったことを、さりげなくさらりと云われる姿に畏敬の念を抱かずにいられない。



秘密基地では左右ステレオによる再生なんぞは考えていない、望むべくは音源256chにしたいのであろう、それは分るし出来れば素晴らしいだろうなぁと思う、秘密基地の進化が楽しみである。最後にリッピングなしでアナログ音源をDS青でかけてもらった、余りにも手放しで褒め称えるのもしゃくに触るから詳しくは書かないが手元に置きたいと思っただけと書いて置こう。悪いところにも少し触れさせて戴くと、リッピング・ノイズか歪みかは分らないが普通以上に強調される部分がソースに因っては再生される。通常であれば高調波成分でマスキングされる歪みがピューアな音となって再生されるときの弊害である、これを理解した上でこの歪みとも付き合わなければならないだろう。そうすれば脳内フィルターで消し去ることも可能かも知れない馴れれば簡単である。それからルームアコースティック・リバーブは必要悪である、魅力はあるが香辛料の類はピューアを目指して256chであれば尚更逆行する高調波成分であろう、胡椒はさじ加減が難しい、料理人でない客に許される僅かな憐みの行為であることを忘れてはいけない。詳しく書かないが、ユニットの配置やユニットの距離については、将来Jyajyaoさんが特許を出願されるかも知れないので、その理論の詳細は書かずに置こうと思う、もう少し推考は必要であるが正しい理論であることをわたしは理解した。


秘密基地からバルカン砲でレーザビーム攻撃されるポールマッカートニー、Oh my god、何てこった。

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最後、銀座の秘密基地三ツ石に流れ込んだ、オーナの指定で七時半を一分でも違えてはいけない、と云う秘密基地の合言葉の意味は出された料理で納得させられた。料理も奥が深いものである、創作料理にもチャレンジされているオーナと板前さん、いつまでも秘密基地で居て欲しい反面、大勢の人に知らしめたいジレンマとの戦いかも知れない、内容の深い一日、考えさせられることの多い一日であった、日新日々新である。何時にも増して長文になってしまった。読みにくいところはご勘弁、やがて上げられるであろう北の信者さんのブログでご理解を深めて下さい。お世話になった皆さん、本当にありがとうございました。  わたしなりに色々学ぶところが沢山ありました。



最後に三ツ石で戴いたお料理の数々を紹介する。




だっさい、という銘酒

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知ったか
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釣りたて刺身
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〆鯖

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金目鯛ウロコ焼き

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牛ステーキの良いところ(山わさびで)
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出汁疋和スープ
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和スープリゾット

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# by hal4550 | 2015-07-08 06:00 | PCオーディオ