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HAL4550

デッカ・デコラ・プリアンプ

デッカ・ステレオ・デコラのプリアンプに使用されているコンデンサは4種類である、電源系のブロック電解コンデンサとバイアス系の電解コンデンサ、そしてカプリング系のフィルム・コンデンサとマイカ・コンデンサである。
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カプリングコンデンサの容量が大きいものはASC X363メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ-誤差 ±5% -55~+105℃は今でもネットで買える部品だ。このコンデンサのASCはAmerican shizuki Corprationつまり日本の指月電機のアメリカ法人の部品である。軍用をオーディオに流用されて評判の逸品をデッカが使用していたとは驚きだ。同社の黄色フィルムコンデンサとルーツは同じだが白色の方が音は良くて評判である。
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さて本題はここから。デッカ・ステレオ・デコラの音の秘密を垣間見たような気がする、まだメーカや入手先など詳細は特定出来ていないがカプリングコンデンサにマイカコンデンサを多用している。容量表示がPF(ピコファラッド)で形状もマイカコンデンサである、マイカコンデンサは周波数特性がよく高周波回路に使われており、わたしも中学生の頃アマチュア無線に精を出していたので自作送受信機に多用していた。また、アンプでも帰還回路やイコライザにキャラメル型の端子付を使っていたことを思い出した。残念ながら容量が小さくPFしかないのでカプリング・コンデンサに使えるとは思っても見なかった。わたしの見当違いかも知れないが形状と端子の止め方や容量表示から見て天然雲母のマイカコンデンサなら凄いものだと思う、このマイカをプリだけで26個も使っている。
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これはネットで見つけたSRC Silver Mica capacitor
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最近ではスペック株式会社が大容量のマイカ・コンデンサを開発して、その音の良さに感動してアンプまで販売し始めたようで面白いことに成って来た。
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実はデッカ・ステレオ・デコラのプリアンプはオリジナルで部品交換がされていないビンテージを二台所有している。時代が違い抵抗と電解コンデンサは異なるがマイカコンデンサは同じ二台を試聴してみると微妙に音の味わいが違う。二台ともノイズなどの問題を含んでいるので、最初8D8かECC83の真空管ノイズかと思ったが、調べていくとカプリング・コンデンサのリークと電極不良に因るノイズであった、それほど高電圧が掛かる所ではないが初段8D8のプレート73Vでリーク、終段ECC83のV2プレート130Vはノイズである。8D8は入力セレクターを切替えると大きなノイズを伴うのでコンデンサのDCリークとすぐに判る、手近なコンデンサに交換するとノイズはぴたりと止む。二台で部品を融通し合うか悩むところだが、取り敢えず一台を完璧に仕上げ、もう一台は部品を探して同じ音に近い所まで修復するしかないようだ。
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本当はこんな面倒臭いことはやりたくないのだが、妙に浮き浮きしながら懐かしい恋人探しのように部品を探している。

本番用デコラ・プリ
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予備用デコラ・プリ(こちらが僅かであるが高域の出方が好ましくSXLにぴったり)
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結局、音質が好ましい予備用プリアンプを整備することにして、一方からマイカコンデンサをもぎ取った。音質は完璧に揃い、ノイズも完全に消えたのでプリアンプは修復完了である。次はチューナの調整にかかる予定だが、もう一台のプリアンプもコンデンサの容量を全て測定して整備し直そうと思っている。
by hal4550 | 2013-03-09 06:00 | レコード