人気ブログランキング | 話題のタグを見る

HAL4550

新たなる挑戦

新たなる挑戦_c0064260_21272498.jpg古くて新しい挑戦を始めた。SXL初期盤を最良の状態で聴きたい一心が、英国のスピーカ、アンプ、プレーヤ、カートリッヂを揃えさせた。相当手を入れねば成るまいが、英国のエクセタから輸入されたが整備を断念したまま数年間放置されていたものを託された。
民生用のシンプルなオール・イン・ワンが良い。まだ鳴らせる状態にはないが、ネイビーとは異なる鮮やかなブルーの塗装が素性の良さを感じさせる。過ってジョン・カルショーが検聴に愛用していたことが知られている。

さて、手始めにプレーヤのメンテナンスから進めた。ガラード301は後期型電蓄に組み込まれていたお陰で殆ど手付かずで新品同様の外観である。アームは付属のプロフェッショナル・MK1スーパーと専用カートリッジが5個ある。
仮に電源をつないで廻してみたが、トルクが弱く45RPM以外は回転しない、スピード調節ダィヤルでも芳しくない、裏面を見てみるとアイドラとプーリの位置がずれているのを直した。33RPMはプラッタを付けると回転しないがプラッタを外すと回転する、調べてみると33RPMのレバーの位置で渦電流減速盤が接触しているようなので調整すると33/45/78共にスムーズに回転し始めた。
新たなる挑戦_c0064260_22521519.jpg


それでもトルクが弱すぎる、EMT927のモータに比べると余りにも貧弱なモータに見えるので仕方ないのだが、ひょっとして117Vが必要かと思ったのでマニアルを見直すと、100-130Vと200-250Vの接続が見つかった、再び裏面のモータ接続カバーを外すと、やはり200-250V接続になっていた。早速ワイヤリング・パッチを直して電源を入れると素晴しい勢いで回り始めるではないか。回転ストロボがないので50/60HZは不明だが電源は両方あるので気にしない。
新たなる挑戦_c0064260_22524957.jpg

新たなる挑戦_c0064260_22525654.jpg


次はカートリッヂを調べるために実体顕微鏡と昔の道具を取り出してきた。昔はカートリッヂのダンパーの交換やムービングコイルの巻きなおし、テンション・ワイヤーの調整を自分でやった、そのための道具は一通り揃っているが実際はチタンのピンセット以外は自作した工具の方が使い勝手が良い。カートリッヂの調整で一番神経を使うのは針尖の周りであるが、顕微鏡下での仕事はニスを塗るにしても接着剤を使うにしても、竹串を加工したヘラが重宝する。竹串を削り600-1000番の紙やすりで削り蝋燭であぶり、ニスを塗り硬さを調節したものを何本か用意する。実体顕微鏡に照明が必要だったのでこれも自作したものだ。
新たなる挑戦_c0064260_21362146.jpg

新たなる挑戦_c0064260_21381325.jpg

新たなる挑戦_c0064260_21365778.jpg

5個のキャラメル・カートリッヂのうち、スタイラス・チップが抜けて無いのが2個、少し磨耗したものが1個、殆ど磨耗していないチップが2個あった。残念ながらMKⅡの赤腹は2個ともチップが抜けているので針交換に出すことにした。全く磨耗していない白ボディと赤腹くんはグリーン丸だからSP用、少し磨耗したのは黒腹で二輪丸だからMK1のステレオ用、今後のテストには黒腹くんを使うことにした。アームの高さとカートリッヂの針圧調整で音が相当変化するようだ。カートリッヂのインピーダンスは5Ωと思い込んでいたのでSPUのインプットにつなぐと音は歪むが声は素晴しく力強く綺麗だ。歪を取るために針圧を変えたり、スタイラスの清掃とテンションワイヤーをアルコールで解したりした。それでも根本的な歪は改善されないのでカートリッヂの針圧をネットで検索すると驚いた、何んと、そのカートリッヂはバリレラ型で負荷抵抗47KΩの出力は5mV、SPUの100倍もある。歪の原因は昇圧トランスの過大入力だった、MM入力にすると正常な音量と歪が無くなった。しかし、このカートリッヂは針圧に敏感である、SPUなどは重めに針圧をかけると良いがデッカ・カートリッヂは適正な針圧に気を配ることが肝心だ。

資料を調べて行くとカートリッヂのラベルの色とシリアル番号の記号が判った。バッチの色が赤はMK1モノラルでシリアルはXで始まる、白に赤はMK1ステレオでシリアルはDで始まる、バッチが白はMK2ステレオでシリアルはMで始まる、金色はMK3ステレオでシリアルはEDで始まる、そして緑は78回転SPでシリアルはYで始まるようだ、これ以外にもあるかも知れない。

取り敢えず、無事に音が出た、MCカートリッヂ以外経験がなかったことによるまわり道だったがそれも良し。今日はここまで、次は電源とプリアンプ、そしてパワーアンプ、スピーカとチューナが待っている。
新たなる挑戦_c0064260_21385523.jpg

新たなる挑戦_c0064260_21393894.jpg

by hal4550 | 2013-02-24 06:00 | レコード