HAL4550

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レコード屋NYC迷い事




時間を見つけてマンハッタンのレコード屋を探した。ネットで見つけたのは五番街を18丁目まで下ったアカデミー・レコードと云う店で、Google Mapが案内してくれる。セントラルパークからあちこち寄りながら一時間で三マイルぐらいをゆっくり歩いただろうか、よく歩いた道や図書館や公園などが懐かしい。五番街とブロードウェイが交差するあたりからすぐに店はある。この近くにもレコード屋やオーディオショップが有り、むかしマッキンのトランジスターアンプがずらりと並んだSOHOの店に行ったことを思い出した。



アカデミーレコードはビルが改装中だったが直ぐに分かった、もしもGoogle Mapが無い時代なら地図を片手に何回も人に尋ねなければならなかっただろうが本当に便利な時代が来たものだ。目的の物をiPhoneで見つけて、その場所まで連れて行ってくれるので便利だが、最近自分の消費行動が変わりつつあることを実感している。欲しいモノが直ぐに手に入るのであれば所有する意味は果たしてあるのか、必要な時に必要なものがあれば必要でないときは元に戻せばよいという考え方も無いではない。モノをコレクションする性癖の強い私も即決購入の癖を直す必要があるのではないかと思う。慎重になることは良いかも知れないが、一方では欲しいものを逃す心配があると云う思いは強い。モノを欲しがることと生きている意味などと大げさすぎるかも知れないと愚にもつかぬことを考える。


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店の外からウインドウ越しに見るとレコードとCDを半々扱うの店のようだ。店内に入ると中高年の人々がレコードやCDを選んでいる、この様子はディスク・ユニオンと大差ない。狭い通路を奥に入った処にLPコーナーが有った。シンフォニーや器楽曲も有るが同じぐらいオペラの箱モノが沢山ある、新品のビニールを被ったままの古いレコードがある。初期盤も結構ある、運命の力、神々の黄昏、オテロ、トリスタンとイゾルデ、セビリアの理髪師、いずれもロンドン初期盤である。しかし、どうやって10キロ余りのレコードを持って帰るのか、別送品で送るか等と考えている内にフト我に返った。オークションで見かけるものばかりを苦労して持って帰る意味があるのかと思ったら急に熱が冷めて全部元に戻した。確かに$35から$70は安くて奇麗だが日本でも少し割高になるが同等のものは買える。困った時代になったものだ、三十年前ならスーツケースを一つ追加してでも持ち帰っただろう。そのように苦労して持ち帰ったレコードがある。ダイアナロスやモータウンレコードはニューヨークで集めたものだが聴くことは先ず無い。


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帰り際、外からウインドウを眺めるとマリアカラスの狂乱の場がディスプレイしてある、昔苦労して買ったSAXオリジナルが$35である。ビートルズのヘルプのモノラルオリジナルも$55だが買わないと決めたから店には戻らない。もしも、この二枚を買ったなら自分の性格からして先のオペラも全部買う羽目になることは目に見得ているから諦めた。そのようなこともあり先程のモノを所有する意味を問い質した次第である。そろそろネットオーディオの出番かも知れないと思いつつセントラルパークのホテルに帰った。疲れたので帰りはタクシーに乗った。


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ところで52th7avの酒屋でBowmore25を見つけた。値段は$75と聞えたがネットで調べると楽天で29,000円で売っている。しかし小さく売り切れと書いてあるので散々迷って免税の三本まで買おうと思い店に引き返し在庫を聞くともう一本倉庫にあるから取って来ると云う。値段は$750だと云う、確かにプライスタグにはそう書いてある、オーナーは小躍りして店を閉めて直ぐに倉庫に取りに行くので外で待てと店を追い出された。三本で三十万円余り、暮れ始めた店の外で冷静に考えてみたら馬鹿々々しくなりオーナーの帰りを待たずに不義理をした。その後、ネットで調べると確かにBowmore25は希少らしい、次の日にマンハッタンの酒屋で何軒か聞いたがBowmoire25は無かったのでチョッピリ後悔した。幸か不幸か最近こうして段々高いモノに手を出さなくなって来た。高級外車や高級オーディオを買うのとは一ケタ違うが、思案中の明代菊花紋皿の催促メールも来ている。ここは思案の為所と黄昏のマンハッタンで愚にも付かぬ迷い事を想う。明日はいよいよLAX経由でHNLに入り仕事をする。



店でみたのはこちらレギュラー

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Small Batch Releaseシリーズ 違いは知らない
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by hal4550 | 2015-09-24 00:00 | レコード

オテロ




MET2015年秋シーズンの初日が9/21、演目はベルディーのオテロ、新演出を楽しみにしていた。いつものことであるがシーズン初日はプレミアム・チケットで平土間と二階席三階席の良いところは$1500と法外な値段が設定され条件の悪い席でも$700である。九月初旬にチケットを取ろうとしたときは既にほとんどの席が埋まっており、$1500の売れ残りは端席だったので諦めて四階席(ドレスサークル)の中央寄りを取った、それでも$300で通常の三倍近い値段には驚く。


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指揮者はYannick Nezet-Seguin 演出はBartlett Sherである。今年のオテロは2015年7月に亡くなったジョン・ビッカーズに捧げると書いてある。1960年代のオテロと云えばビッカーズとデルモナコが有名である。わたしもLPを何枚か持っているがカラヤン指揮ウィーンフィルのデルモナコとテバルディのLPが好きである、このレコードはDecca盤よりブルーバックのLondon盤の方が断トツに良い。1970年代にカラヤン・ベルリンのオテロはビッカーズとフレーニが歌っている。しかもビッカーズはデルモナコの一年前にもセラフィン指揮でオテロをやっている。そういうことでジョン・ビッカーズは馴染みが深く、既に故人と思っていたのだが今年亡くなったとは意外な気がした。座席のあちらこちらでジョン・ビッカーズの話題が持ち切りだ、さすがオールドファンは良く知っている。



期待と興奮のなか2015秋シーズンのオテロは幕が開いた。またかと思ったのは大きな半透明のガラス壁が三枚出てきた。壁は増えたり減ったりしているのだがバイロイトのオランダ人、ザルッブルグのトロバトーレと云い、大きな壁を動かす演出構成が流行っているのは偶然ではないだろうがウンザリしている。その上映像とフラッシュライトを点滅させ演出効果を上げるのも同じ手法である。


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相対的に一幕目の出来は悪かった。初日だからと云えば仕方ないで済まされるものの、現実の舞台はみんな固くなって良くない、オケの響きも良くなかった。唯ヤーゴは最初から良かった、快調に飛ばして小慣れていない舞台をひとりで引っ張ろうと頑張っていた。半時間もするとオケは快調になり、デスデーモナも感情移入した素晴らしい演技と声が光ってきた。テナーのオテロはエンジンが掛るまで随分時間を必要とした。快調に引っ張っていたヤーゴも四幕の終わり当たりで高域の響きが無くなった。それでもバスの響きは素晴らしく、バスバリトンと云ったほうが良いかもしれない、Zeljko Lucic(ジェリコ・ルチッチは素晴らしい。オテロのAleksandrs Antonenkoはアンナ・ネトレブコのオテロ役で有名なテノールだが要求されるテノール・ドラマティコとは程遠く好きにはなれなかった、ビッカーズやデルモナコを聴いている性もあるだろうが彼らと比べるのは勿論酷なことであると承知はしている。デズデーモナはSonya Yoncheva(ソーニャ・ヤンチェバ)ソプラノである。彼女は役柄をテバルディに近いソプラノ・ドラマティコで歌っている。幅広い音域でテバルディにも負けない素晴らしいデズデーモナであった。最初の一幕は別として最後の柳の歌まで歌唱力表現力に満ちた声で初日の緊張感も解けて素晴らしい舞台を届けてくれた。


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METの観客のマナーの悪さが目についた。カーテンコールが始まると席を立ち始め視界を遮るだけでなく拍手している人々を立たせてまで自分が帰ろうとする非常識な女性の多いことには驚いた。また、アリアが終わらない前に拍手やブラヴォを飛ばす恥ずかしい観客も多かった。ヨーロッパも酷いと思ったがMETは想像以上に悪くなっている。


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デズデーモナ役のブルガリアの歌姫ソーニャ・ヤンチャバがブレイクする日も近いだろう。彼女はアンナ・ネトレブコの代役にも抜擢されたほど実力のあるソプラノ、METで主役を取れば二三年後には必ず売れ始めるジンクスで活躍が楽しみだ。


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アフターアワーはMET前のいつものイタリアンで祝杯を上げながら行く秋を惜しんだ。


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by hal4550 | 2015-09-22 21:00 | 演奏会

オーロラ




ニューヨークの仕事のついでにMET2015秋シーズン初日のオペラ"オテロ"を観るために成田経由のJL直行便に乗った。途中予想だしないことが起こった。CAさんがアンカレッジ上空一万メートルでオーロラが出ていますよと、そっと教えてくれた。誰一人起きていない時間帯に私ひとりだけが本を読んでいた。個々は衝立で仕切られているから窓側席からしか見えないが神秘的な体験をした。誇らしげに大きく輝く明けの明星の横に並ぶ小さな星は火星だろうか。



始まりはチョロチョロと雲がもやっているのかと思ったが刷毛で曳いたように隷属的に色や帯が変化する様は神々しかった。わずか二分間の出来事である。写真を撮り始めて二分後にはすでに消えてしまったから、前後を入れても五分も無かっただろう。話に聞くイエローナイフあたりのオーロラツアーは素晴らしいそうであるが勿論わたしは初めての体験であった。


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ニューヨークは三泊の予定で昼間仕事をして夜はMETとJAZZ巡りが楽しみである。そのあとの地獄のハワイを今は考えるまい。眠れぬ夜更けを刻む為に此処では手にすることも叶わぬ堀口大学が無性に読みたい、遥か遠き恋人に遇いたい









by hal4550 | 2015-09-21 06:52 | その他