HAL4550

カテゴリ:レコード( 57 )

レコード屋NYC迷い事




時間を見つけてマンハッタンのレコード屋を探した。ネットで見つけたのは五番街を18丁目まで下ったアカデミー・レコードと云う店で、Google Mapが案内してくれる。セントラルパークからあちこち寄りながら一時間で三マイルぐらいをゆっくり歩いただろうか、よく歩いた道や図書館や公園などが懐かしい。五番街とブロードウェイが交差するあたりからすぐに店はある。この近くにもレコード屋やオーディオショップが有り、むかしマッキンのトランジスターアンプがずらりと並んだSOHOの店に行ったことを思い出した。



アカデミーレコードはビルが改装中だったが直ぐに分かった、もしもGoogle Mapが無い時代なら地図を片手に何回も人に尋ねなければならなかっただろうが本当に便利な時代が来たものだ。目的の物をiPhoneで見つけて、その場所まで連れて行ってくれるので便利だが、最近自分の消費行動が変わりつつあることを実感している。欲しいモノが直ぐに手に入るのであれば所有する意味は果たしてあるのか、必要な時に必要なものがあれば必要でないときは元に戻せばよいという考え方も無いではない。モノをコレクションする性癖の強い私も即決購入の癖を直す必要があるのではないかと思う。慎重になることは良いかも知れないが、一方では欲しいものを逃す心配があると云う思いは強い。モノを欲しがることと生きている意味などと大げさすぎるかも知れないと愚にもつかぬことを考える。


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店の外からウインドウ越しに見るとレコードとCDを半々扱うの店のようだ。店内に入ると中高年の人々がレコードやCDを選んでいる、この様子はディスク・ユニオンと大差ない。狭い通路を奥に入った処にLPコーナーが有った。シンフォニーや器楽曲も有るが同じぐらいオペラの箱モノが沢山ある、新品のビニールを被ったままの古いレコードがある。初期盤も結構ある、運命の力、神々の黄昏、オテロ、トリスタンとイゾルデ、セビリアの理髪師、いずれもロンドン初期盤である。しかし、どうやって10キロ余りのレコードを持って帰るのか、別送品で送るか等と考えている内にフト我に返った。オークションで見かけるものばかりを苦労して持って帰る意味があるのかと思ったら急に熱が冷めて全部元に戻した。確かに$35から$70は安くて奇麗だが日本でも少し割高になるが同等のものは買える。困った時代になったものだ、三十年前ならスーツケースを一つ追加してでも持ち帰っただろう。そのように苦労して持ち帰ったレコードがある。ダイアナロスやモータウンレコードはニューヨークで集めたものだが聴くことは先ず無い。


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帰り際、外からウインドウを眺めるとマリアカラスの狂乱の場がディスプレイしてある、昔苦労して買ったSAXオリジナルが$35である。ビートルズのヘルプのモノラルオリジナルも$55だが買わないと決めたから店には戻らない。もしも、この二枚を買ったなら自分の性格からして先のオペラも全部買う羽目になることは目に見得ているから諦めた。そのようなこともあり先程のモノを所有する意味を問い質した次第である。そろそろネットオーディオの出番かも知れないと思いつつセントラルパークのホテルに帰った。疲れたので帰りはタクシーに乗った。


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ところで52th7avの酒屋でBowmore25を見つけた。値段は$75と聞えたがネットで調べると楽天で29,000円で売っている。しかし小さく売り切れと書いてあるので散々迷って免税の三本まで買おうと思い店に引き返し在庫を聞くともう一本倉庫にあるから取って来ると云う。値段は$750だと云う、確かにプライスタグにはそう書いてある、オーナーは小躍りして店を閉めて直ぐに倉庫に取りに行くので外で待てと店を追い出された。三本で三十万円余り、暮れ始めた店の外で冷静に考えてみたら馬鹿々々しくなりオーナーの帰りを待たずに不義理をした。その後、ネットで調べると確かにBowmore25は希少らしい、次の日にマンハッタンの酒屋で何軒か聞いたがBowmoire25は無かったのでチョッピリ後悔した。幸か不幸か最近こうして段々高いモノに手を出さなくなって来た。高級外車や高級オーディオを買うのとは一ケタ違うが、思案中の明代菊花紋皿の催促メールも来ている。ここは思案の為所と黄昏のマンハッタンで愚にも付かぬ迷い事を想う。明日はいよいよLAX経由でHNLに入り仕事をする。



店でみたのはこちらレギュラー

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Small Batch Releaseシリーズ 違いは知らない
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by hal4550 | 2015-09-24 00:00 | レコード

四十年越しの指輪




東京へ行った折新宿の伊勢丹へ寄った。待ち時間でディスクユニオンへ行ってみた、伊勢丹の隣のビルである。クラシックレコード売場は沢山の人で賑わっている。わたしは箱から一枚一枚探すのが苦手である。時間は掛かるし余計なものを沢山買ってしまうからだ。それよりも店が自慢の飾ってあるレコードから選ぶ方が楽であるし店員と二言三言会話をすれば実はと奥から取って置きを持ってくること必定である事を長年の経験で知っている。



SXLの名盤クライバーのフィガロの結婚とカラヤンのアィーダとアンセルメ・パリ管のシェラザードいずれも初期盤を買った。盤は綺麗で値段もかなりのものだったがレコードは出会いが肝心である、これ等は何れも三組余り持っているのだが見ると欲しくなる性質なので仕方ない、店員とすっかり仲良くなってしまった。帰り際レジ横に指輪が沢山並んでいる、その中で一際分厚いセットがある、ひょっとしてベームの指輪ではないかと思い見せてもらうと四十年前に歯医者さんのところで何回も聴かせて貰ったあの皮張表紙の指輪だった。あの頃はジークフリートもボータンも何にも分らずただあの皮張りのレコードは一生働いても買えないだろうと諦めていた薄給の若者だった。



今はバイロイトでもパリでも行けるが皮張りのレコードは目の前に現れることは無かった。手にとって見てみるとずっとベームの指輪と思い込んでいたものがショルティの指輪でキングから出ていたものと分った。指輪なら三十組余りあると思う、今更日本盤の指輪を買ってどうするのだと言う気もするが四十年来の思い出に蓋をすることは出来ない。部屋の片隅に置いても良いと云う気持ちで、これも下さいと言うと値段は三千円と云う、聞き直しても三千円と云う、十六枚組BOXのせいか中々売れないレコードの類らしい。宅急便で送って貰うことにした。

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持ち帰ったフィガロの結婚を聴き終ったころ宅急便が届いた。写真を撮りブログを書きながらワルキューレから聴きたいと思いボックスを開けると四五六と並んでいる、やはりこの人もあそこが好きなのかと思った。愛蔵家番号が36番であるからかなりのファンであったのだろうレコードは綺麗で傷一つ無いが解説書はボロボロである。メモ用紙も入っている、岐阜大垣で鉱泉所を経営していた人だろう伝票の裏に色々メモ書きが残されている、前の所有者を色々推理するのも楽しい事だ。

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今更キングの日本盤を買ってどうするんだという気持ちは杞憂に終わった。聴いて見ると素晴らしい音がする、ワルキューレの騎行はやはり素晴らしい。デッカ・デコラはこう云うレコードを掛けると素晴らしい音がする。四十年前の二十歳代だった自分の思い出が交錯する。確かパトリシァン800のオリジナルをマランツ9とマランツ7にEMT927DSTで聴かせて貰ったと思う。デッカ・デコラと出会って本当に良かったと思う。あれこれ悩まず音楽に没頭できる、とは云えマニアの性がむくむくと首を持ち上げてこない事もないのだが今日は幸せである。










by hal4550 | 2015-08-31 13:00 | レコード

コリブリ

Colibriと云う恐ろしいカートリッヂ(2014/8/09記)


Colibri(コリブリ)とはハチドリのことだ。
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仕事の合間を盗んでオーディオ店のホームページを眺めていた。特に欲しいものが有る訳でもない。


カートリッヂはないか、EMTもオルトフォンも沢山あるので必要はないが珍しいものや新しいものを探していた。LyraのTitanは有るかなと思ってページを見ていると、何とVDHのカートリッヂが出ている。既にTSD15仕様のVDHサファイヤカンチレバーは拙宅の必需品になっているので同じものがあれば高くても買いたいと思っていた。


見つけたのはVanDenHallのBlackBeautyという定価56万円もするものが168,000円で特価処分、難ありと書いてある、カンチレバーが左へ少し寄っている、それに錆と汚れである。興味があったので店に電話してVDHのBlackBeautyを聴いてみたいので夕方行くと予約をした。ついでに最高機種のColibriは有るかと聞くと両方とも視聴可能と言うので仕事を早めに切り上げて店に行った。何ヶ月ぶりだろう、こういう高揚感は久し振りで好いものだ。



これがVDH Black Beauty、云うとおり綺麗ではない。
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新品に近いColibri。
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先ずはColibriを聴かせてもらった。発売当初の定価は62万円、わたしが前に買ったBrinkmanは50万円だったが直に飽きてしまった。最初に聴いた印象はこれが62万円もするカートリッヂとは思えないほど大したことは無かった。BlackBeautyに至っては2-3万円のカートリッヂの方がよほどマシな音であった。試聴した環境が悪過ぎた、一応JBL4311と山水のAU999であるがこれでは高価カートリッヂを買う気になれないからもっとマシな装置で聴かせて欲しいと頼むと4341でどうだろうというのだが、目の前に馴染の深い中期パラゴンがあるのでアキュフェイズのプリとMC2500をつないで貰った。それほど良い音ではないが、何かが違うことはハッキリ分かった。BlackBeautyも良くなったが価格ほどではない、LyraもTitanではないが比較させてもらうと圧倒的にColibriが良い、何かが違う、麻薬的な美音かも知れないが取り敢えず一緒に連れて帰ることにした、定価が82万円にもなっていた、売価は40万円から26万円に、更に20万円になっていた、誰も手を出そうとしないからどんどん売価を下げて行ったようだ。某レコードコレクターが亡くなり娘さんが売りに出したと言うことだった。初期盤のレコードが山ほどあり、これはライバル店に先を越されたらしく悔しがっていた。カートリッヂのコンディションから想像するとBlackBeautyを先に買って常用し上位機種が欲しくなり、買ったが直に亡くなったのだろう、音質の差から考えてもColibriを常用にするだろうと思うのだがColibriは新品のように綺麗でスタイラスの磨耗も見られない、ラッキーなVDHだ。


EMTに付けてあるVivのロングアームにVivのシェルを使って取り付けた、第一音でビックリ驚いてしまった。物凄く高い分解の解像度と音の出方が今まで聴いたカートリッヂと全く違う、本当に良いものだ。レコードのイメージが完全にひっくり返るほど凄い、CDともテープとも違う、全く違うメディアのようである。特にクラシックの初期盤には今まで聴いたことの無いような音が一杯詰め込まれている、そう云う発見である。なかなかレコード盤を下ろせない、次から次へとレコードをかけた。

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by hal4550 | 2015-06-16 01:00 | レコード

美容液、なんのために




長年探し求めていたものが身近に見つかった、今まで使っていたものがもう直ぐ底を尽きそうなので真剣に探したらネットで買えることが判った。


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昔は試薬屋で購入したものだが、同じ材料として美容液が売られていた。スクワランは深海鮫から抽出される100%天然オイルで安定性が高く酸化変質しにくいオイルである。


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このオイルを美容ではなくEMT927のメインシャフトのオイルとして25年間使用している。安定していて全く問題は無い、意外に思われるだろうが安くて用途に最適である事は重量級のターンテーブルを廻し続けた年月が証明している。30mLで760円とは嘘みたいな値段である。
by hal4550 | 2014-03-01 02:00 | レコード

グラムフォンとベーム




さて、ジャズも落しどころが分かったところでクラシックを聴いてみた。中途半端な慰めは要らないので、多分最悪な結果を予想して黄色いレーベルを乗せてみることにした。




結果はやはり最悪だった、ジャズを一番良いところに持って行くとクラシックは最悪の見本みたいなところである。EMT+VDHはジャズに残し、針圧を弄るよりクラシックは別口で調整する事にした。

その最悪コンビとはグラムフォンとベームである。むかし、JBLではクラシックがなかなか鳴らなかった、シスコンの方が余程ましであった頃を再現したかのようなひどい薄っぺらな音楽である。
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別系統のオルトフォンSPU-G+(カーボンケーブル)+JC1DC+ML6-Lへ換えてみるとベームのウィーンの懐かしい演奏がそこにいた。不遜だがオーケストラはステージに広がる楽器の数の分解能が気になる、弦の数がはっきりと一本いっぽん聴き分けられるのが良い、管楽器も何本かの楽器が一本いっぽん聴き分けられないと気持ち悪い、そのうえで綺麗にハーモニーするクラシックが好きなのだ。ジャズとクラシックでは聴いているところが違うと云いながら、やはり分解能が気になるらしい。しかし、いつもこう云う聴き方をしている訳ではないことを釈明しておかなければならない。

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ジャズに比べると、やや沈んだ暗めのステージが目の前に広がる。JC1DCの電池が気になったので交換してみることにした。MAXELLの単一アルカリ電池が入っていたが電圧は1.21v、PanasonicのEVOLTAは交換時の電圧が1.32vであったが新品EVOLTAは1.6vを軽く越える電圧である。電池による音の差であるがEVOLTAは明るめのファンキーな音で細かい弦の数までは分からないがステージに奥行きがでる、一方MAXELLは暗めでシルキーな音は細かく弦の数が数えられステージは横に幅広くひろがる、グラムフォンのレコードにはMAXELLの方が合うようだ。しかし、MAXELLはノイズが乗りやすく消耗が早いのが欠点である。
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試聴に使用したベームのグラムフォンだがベートベンの第九と第六である。第九はアナログ録音(1972年)と最後期のデジタル録音(1981年)であるがどちらも素晴らしく、アナログ録音はゆったりとうねるような出だしで全体的に良い、デジタル録音は少し早足で急かされているが細かい表現もしっかりしている。両方とも手元に置くレコードであるがアナログ録音盤がターンテーブルに乗る頻度は多いような気がする。


ついでにカラヤンのグラムフォンで同じ第九を聴いてみた、このレコードはチューリップ・オリジナル盤である。雄大な音楽で音も素晴らしい、ウィーンとは違うベルリンの素晴らしい音楽を演奏してくれる、カラヤンは素晴らしいが演奏はウィーンの方が好きだと言うのが本音である。でも、チューリップ盤の音質は素晴らしい、ブルーラインでは絶対に出ない音である。
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有名なクレンペラー・フィルハーモニアはSAXオリジナル盤を持っている、余り好みではないので普段は聴かないがフランス盤で比べてみた。指揮者とオケが違うレコードを比べるのは好き嫌いの意味しかないが、ゆったりとした演奏で独特の響きがありSAX盤より遥かに好ましい、さすが名演と納得した。因みに試聴したのは全て第一・第二楽章のみである、第九は大概二枚組みであるがカラヤン・チュリップ盤は一枚に詰込まれているのが残念に思う。



仕事をしながらクレンペラー盤を聴いてみるとステージが目の前に広がっていることにあらためて気が付いた、ジャズに比べて音像が随分下がり、目の前にフィルハーモニアが展開している、素晴らしい。オーケストラはこれで決まりだ、空間再現のハードルが高いオペラはそのうちに聴いてみよう。


by hal4550 | 2014-02-27 06:00 | レコード

マーラ二番復活





空が澄み切り青天井が近くに見え始めると無性にマーラが聴きたくなる。今日は久々に仕入れてきたクレンペーラVPOの二番復活(VOX初期盤)。

野太くウイーンフィルとは思えない出だしだが、それも暫らくすると、やはりウィーンフィルらしい演奏であることが分かる。
復活のクレンペラーVPOは1964年のシュワルツコッフ(sp)マダン(alt)もあるが、これは1951年ILONA STEINGRUBER(sp)HILDE ROSEL MAJDAN(alt)である。

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録音は古く当然モノラル録音であるがそう云うことはどうでも良いと思える。1951年5月18日ライブ録音がTESTAMENTとしてCDで発売されているが、VOXフラット初期盤は聴衆の気配が全く感じられない録音なので別バージョンかも知れない。

最も好きな部分は第四楽章のアルトとバヨリンで始まる「赤い小さな薔薇よ」から「子供の不思議な角笛」である。最終楽章復活のアルトのアリアは心が洗われるようで勿論好きである。ウィーンフィルの弦楽器は素晴らしい、古い録音はイコライザーカーブの問題もあるので高域部再生は評価が分かれるところだが、二楽章終わりの弦ピチカートはやはり好きなパートである。


さて、わたしの復活の聴き方であるが四五二三と聴くのが好きである。第一楽章の主題の繰り返しは心臓に良くないので偶にしか聴かない。復活はこのようにバラバラにしても楽しめる曲である。まあ、ひと好き好きだからこのような聴き方も許されるだろう。因みにマーラ二番クレンペラーで人気が有るのはバイエルン放送のライブ録音だが拙宅の棚には無い。


今週はウィーンフィルが聴ける、ティレーマン指揮Beethoven #4 #5 日本の演奏会は10年ぶりだろうか。女房は衣装選びに余念が無い。
by hal4550 | 2013-11-04 06:00 | レコード

裏庭の英雄




長いあいだ拙宅の愛聴盤であったベートベン交響曲第三番英雄、なかでも第二次世界大戦末期のフルトベングラー・ウィーンフィルはウラニアのエロイカとして知られる緊張感のあふれる有名なレコードである。戦後、フルトベングラーの了承を得ずして発売されたこのレコードは発売後回収されて枚数の少ないコレクターアイテムである。

この初期盤を3枚持っているが、この名盤に対する疑問もあった、ピッチが速すぎるのと聴いていて不自然な部分があった。昨年、フルトベングラーの復刻CDがフランスtahra盤として発売され聴いて期待していたが、ことし1月ついにアナログLPが発売された。
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早速聴いてみると、素晴らしい出来具合である、不満だったピッチの早さも解消され、一番聴きたい第二楽章も二面全部に余裕で刻まれ、そのためか不自然な部分も無くゆったりとした演奏に聴こえる。第三楽章のホルン三重奏は牧歌的な印象すら与え、しかも第二楽章は英雄の死と葬送をテーマにした穏やかなアダージョで、明らかにナポレオンに献呈されるべきものでは無いことが分る。いや、この第二楽章により決定的になったと言う方が正しいかも知れない。ウラニア盤交響曲第三番は1944年12月19-20日ウィーン、ムジークフェライン大ホールで録音されている。演奏中に大砲の音が聴こえているので田舎の戦地で録音されたものと思っていたのだがムジークフェライン大ホールとは驚いている。このLP-BOXのキャッチコピー"もはや、ウラニア盤は役目を終えた"、と書いてある。いささか、云い過ぎであるが、云いたい事は良く分る。


Tahra盤フルトベングラー名演集LP-BOXは"ウラニアのエロイカ"の他に、"ハンブルクのブラ1"、"ベルリン1952年12月7日のエロイカ"、"ルツェルンの第九"など合計7枚組のLP-BOXである。先のAudite復刻盤14枚セットは二組買ったが、音質はともかく盤のゆがみがひどく閉口した、Tahra盤はそんなことはない、むしろ音質も格段に上っている。ブラ1も北ドイツ放送楽団とはいえ素晴らしい、ティンパニの連打に始まる第一楽章はコントラバスとファゴットの低域過剰かと思うほどだが、後に続く演奏を聴くとこのバランスは正しいものだった事が分るほど重厚なブラームスが流れるので感動している。



一緒に買ったETERNAの復刻盤、ペータシュライヤーの水車小屋の乙女も素晴らしい出来であった。水車小屋の乙女はペータシュライヤーは勿論、ディスカウも有るので要らないと言えばそれまでだが、やはり、このETERNA EDITIONは良い。
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by hal4550 | 2013-08-18 17:00 | レコード

シベリウス

毎年、この時期になるとシベリウスを引っ張り出してくる、それも2番やフィンランディアではなく、4番である。

シベリウスは大好きで、アンセルメ、バルビローリ、カラヤン、マゼール、バーンスタイン等などを良く聴いている。


4番に限ってはカラヤン/ベルリン/SLPMとアンセルメ/スイスロマンド/SXLそしてマゼール/ウィーン/SXLが好きである。わたしにとって、この時期のシベリウスは、長い梅雨の季節からの開放感と酷暑に対峙する気持ちの表れだろう。
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先にDD66000の調整で、特に変わったのは金管楽器の柔らかさだろうと書いたが、この4番は四楽章にチューブラベル(鐘)もしくはグロッケンシュピール(鉄琴)が鳴り響き、4番の特徴である独特の世界観を醸しだしている。素人のど自慢で鳴り響く、あの鐘の音であるが、鉄琴がグロッケンシュピールで鐘がグロッケン(チューブラベル)になるらしい。


シベリウスの初版楽譜には「Glocken(鐘)」と表記されているが、一般的には指揮者のセンスによるものらしく、シベリゥス自身も後でフィナーレの当該部分は「Glocken」の部分に手書きで「sp」と付け足され、その結果「Glockensp(グロッケンシュピール)」になっていると解説してある。音の綺麗さで云えば倍音が綺麗に伸びる鉄琴であろうが、倍音が複雑に混ざり合うチューブラベルが魅力的である。


私の愛聴盤であるアンセルメSROは終始グロッケン(鐘)で演奏されている、聴いてみたらマゼールWPOの方は鉄琴の演奏だった。4番の特徴を表している最終楽章のグロッケンが柔らかく響くようになった事が、先のブログに最も変わったのは金管楽器と書いた所以かも知れない。グロッケンは打楽器であるがその音色が金管楽器全体の印象を変えてしまったのかも知れない。あとで調べてみると面白い事が分るものだ、4番以外のシベリウスも夏が終わる前に何回もターンテーブルに登場することだろう。


アンセルメについて、海外では熱烈なファンが多い巨匠であるが、日本では酷評を目にする。私はアンセルメやマゼールのシベリウスは大好きだ、初期盤Deccaレコードが好きだからに違いないが改めて聴いても素晴らしい演奏だと思う、別にむきになることでもないのだが。
by hal4550 | 2013-07-15 10:00 | レコード

不惑

四十にして迷わず、だが、還暦を三年過ぎても、未だ迷いが心から消えることはない。

測定器の選定に当たり、各社に連絡を取り取扱説明書を送付戴くなど随分お世話になった。


その中でも興味を引いたのがテクトロニクスのAM700、アリジェントのU8903A、シバソクのAM70Aであった。
測定器は校正が一番である、校正していない測定器は不安で仕方ない。まあ目安を付けるだけにしても正しい値は絶対であろう。

幸いテクトロにしてもアリジェントにしても海外メーカの校正は問題なくサポートされている。シバソクのサポートは少しコンフリケートだが校正専門会社で実施されるから実質上問題は無いと思う。



テクトロについて、オークションに出品されていたが中古販売業者以上の高額出品で他に応札者も無く可能性はあるかと思った。心配は出品者に複数の悪い評価が付いていたこと、案の定締切り前に出品を取りやめてしまったのでオークションは成立しなかった。メーカから送られてきた取扱説明書を読む限りに於いては必要な機能は全て揃っているし、グラフ表示とデータ取得と外部ディスプレイ表示が出来る優れものだっただけに複雑な気持ちだ。

アリジェントU8903Aは数年前の設計で唯一新品購入できるものだが、分解能と計測速度に少し問題を感じた。シバソクAM70Aは販売終了の製品だが、現行商品AM51Cよりも新しい設計なのに保守部品がなくなってしまったので止む無く販売終了になった逸品らしい。


検討過程でFFTアナライザが必須と思った時期もあったが、グラフ表示の第三次高調波歪間解析より、第1/2/3/4/5次高調波歪が数値で表示される方が私の使用目的に合致している。また、表示データから頭の中ではグラフがイメージできるので問題は無い、と云うことでターゲットはAM70Aに決定した。

ネット中古測定器専門店サイトでAM70Aをキープしておいた、このサイトでは一週間の試用期間がある、実際には購入代金をデポジットして試用するものだが、後でトラブルを起すよりスマートなシステムであると感心している。


デポジットを済ませ昨日AM70Aが送られてきた。本体のみでBNC端子なども自分で揃えなければならない。取扱説明書も何にも付属品は無い。取扱説明書はDW's西やんさんから入手して戴いた、感謝感激有難いことである、メーカの壁が高かったので一時は諦めかけていたので本当に感謝している。


マニュアルは無くても手探りで操作出来るのでJC-1DCを測定してみた。値がどうもおかしい、2000Hzから20Hzの間で左右差が広がり20Hzで20dbの差がある、これはおかしい。またIMD歪(7Kz-60Hz)もかなり大きい、聴感上の差は無いのだが、再び棘が刺さったような感覚が甦ってきた。
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西やんさんからマニュアルが届いた、操作はほとんど分っていたが、問題の部分はオシレータの出力レベルが左右別々に設定しなければならないことが分った。初期状態で1Khz1Vの設定になっていたがJC-1DCのテストで1V入力はナンセンスである。測定の過程でBchを100mvから10mvまで試して10mvが現実の値だろうと思い設定した。Achは触っていないので左右差が100倍20dbある訳だ。マニュアルを読むまでは気が付かず疑問だった。

それとフィルタの校正が出来ていないか故障しているようだ、特に残留ノイズ測定に必要なCCIR-468と20KzLPFの左右差が酷く使い物にならない。最初からCCIR-468をオンにしてテストしていたので、測定値に大きい差異が出てしまった。今朝、自分で校正回路を組み、比較してこれが判明したのでフィルターの類を外して正常な値が表示された。DSPの演算速度も結構速くて計測結果が揺らぐ時間が短くて良い、U8903Aはこの辺が問題らしい。


不思議なものでJC-1DCも測定結果の左右差が少なくなり、そして、JC-1DCのオフセット電圧を0.0001Vまで追い込んだら測定数値も右左揃ってきた、嬉しいことである。音も良くなって来た気がする、気がするだけでも精神衛生上随分助かる、オーディオとはそんなものである。無いよりはデータが有った方が良い、そして揃っている方がもう一歩良いに決まっている。

いつでも正確なデータが測れるようになったから、百人力の味方を得たような気がする、無論、それで音楽が美しくなる訳ではない事は百も承知だ、ただ、ただ嬉しいだけ ......... なのさ。
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試用期間が終わったら校正のため店へ送り返し、三週間後にはフィルターの問題さえ無ければ校正済みのAM70Aが帰ってくる。
by hal4550 | 2013-07-05 06:00 | レコード

さらに強化

Rigid Floatアームの調整で劇的に音が変わるのであれば、さらにRigidを強化しようと欲が出てきた。


Rigid Floatの特徴である"どこでもアーム"はアームをターンテーブルに固定する事無く、重量級のピポッドベースをターンテーブルの横に置くだけで良い。 どらえもんの"どこでもドア"と同じように便利なもの。


しかし、ターンテーブルが決まっている拙宅、いや殆どのオーディオファイルでも事情は同じだろう、一本のアームを複数のターンテーブルで使い回しをするのは試聴室以外では稀なことだろう。物理的にも不安定である、ここに注目してアームを固定する事にした。


重量級アームベースには磁性流体のピポッド軸受けが収まっている。オイルが入っている筈だがオイルは磁性流体で下図のように棘状になってアームを支え、こぼれ落ちることはない。このベースの裏側にはシリコン系の凸っぱりが三個貼り付けてある、滑り防止を考えなければ、この凸っぱりはない方が音は良い。

                                   磁性流体
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そして、アームベースに取り付けるために2mmのネジが三箇所切ってある。拙宅の場合、EMT927のラックに取り付けたアームベースは25mmの硬いタモ集合材で作ってある。裏から2mmX30mmのネジで取り付けた。この重量級ベースに直径2mmのネジは強度的に心許ない、せめて3mm以上でないと安心してネジ止めは出来ない、この点はメーカで改良された方が良いと思う。


試聴の結果は素晴らしかった。刺激的な音は無くなり、しっかりと根を張った低音域とすっきりと澄み渡る高音域のバランスが特筆できる。 そして、楽器の空間配置がはっきりと定位することだ、これは驚く。


アームは磁性流体軸受と云えども固定した方が絶対に音は良い、Viv Laboでは固定バージョンも発売していることから開発者も認識されていると思うので安心している。
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最後は思いつきの実験をした。JC-1DCは前期後期でトランジスターとモジュールがある、これは前期トランジスタータイプである。注目したのは電池、元々付いていた電池は某社アルカリ電池単一4本であるが、これをパナソニックのEvolta(グランドキャニオンを乾電池一本で登坂するロボットのコマーシャル)に交換した。電圧はほぼ同じで比較したが、随分音質が違う、某社アルカリは柔らかくしっとりする。Evolta君はざらっとしているが重心が低く押し出しがある。悩むところだが電池によっても随分音が違うのは確かだ。 

殆どのレコードは以前より少しだけ旨く鳴るようになった、しかし、菅野邦彦のポートレイトは神憑りが消えて普通の演奏になってしまったのが実に残念だった。  本当に惜しかった
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by hal4550 | 2013-07-02 06:00 | レコード