HAL4550

カテゴリ:演奏会( 25 )

オテロ




MET2015年秋シーズンの初日が9/21、演目はベルディーのオテロ、新演出を楽しみにしていた。いつものことであるがシーズン初日はプレミアム・チケットで平土間と二階席三階席の良いところは$1500と法外な値段が設定され条件の悪い席でも$700である。九月初旬にチケットを取ろうとしたときは既にほとんどの席が埋まっており、$1500の売れ残りは端席だったので諦めて四階席(ドレスサークル)の中央寄りを取った、それでも$300で通常の三倍近い値段には驚く。


c0064260_20352836.jpg
c0064260_20354504.jpg

指揮者はYannick Nezet-Seguin 演出はBartlett Sherである。今年のオテロは2015年7月に亡くなったジョン・ビッカーズに捧げると書いてある。1960年代のオテロと云えばビッカーズとデルモナコが有名である。わたしもLPを何枚か持っているがカラヤン指揮ウィーンフィルのデルモナコとテバルディのLPが好きである、このレコードはDecca盤よりブルーバックのLondon盤の方が断トツに良い。1970年代にカラヤン・ベルリンのオテロはビッカーズとフレーニが歌っている。しかもビッカーズはデルモナコの一年前にもセラフィン指揮でオテロをやっている。そういうことでジョン・ビッカーズは馴染みが深く、既に故人と思っていたのだが今年亡くなったとは意外な気がした。座席のあちらこちらでジョン・ビッカーズの話題が持ち切りだ、さすがオールドファンは良く知っている。



期待と興奮のなか2015秋シーズンのオテロは幕が開いた。またかと思ったのは大きな半透明のガラス壁が三枚出てきた。壁は増えたり減ったりしているのだがバイロイトのオランダ人、ザルッブルグのトロバトーレと云い、大きな壁を動かす演出構成が流行っているのは偶然ではないだろうがウンザリしている。その上映像とフラッシュライトを点滅させ演出効果を上げるのも同じ手法である。


c0064260_20395147.jpg
c0064260_20384971.jpg

相対的に一幕目の出来は悪かった。初日だからと云えば仕方ないで済まされるものの、現実の舞台はみんな固くなって良くない、オケの響きも良くなかった。唯ヤーゴは最初から良かった、快調に飛ばして小慣れていない舞台をひとりで引っ張ろうと頑張っていた。半時間もするとオケは快調になり、デスデーモナも感情移入した素晴らしい演技と声が光ってきた。テナーのオテロはエンジンが掛るまで随分時間を必要とした。快調に引っ張っていたヤーゴも四幕の終わり当たりで高域の響きが無くなった。それでもバスの響きは素晴らしく、バスバリトンと云ったほうが良いかもしれない、Zeljko Lucic(ジェリコ・ルチッチは素晴らしい。オテロのAleksandrs Antonenkoはアンナ・ネトレブコのオテロ役で有名なテノールだが要求されるテノール・ドラマティコとは程遠く好きにはなれなかった、ビッカーズやデルモナコを聴いている性もあるだろうが彼らと比べるのは勿論酷なことであると承知はしている。デズデーモナはSonya Yoncheva(ソーニャ・ヤンチェバ)ソプラノである。彼女は役柄をテバルディに近いソプラノ・ドラマティコで歌っている。幅広い音域でテバルディにも負けない素晴らしいデズデーモナであった。最初の一幕は別として最後の柳の歌まで歌唱力表現力に満ちた声で初日の緊張感も解けて素晴らしい舞台を届けてくれた。


c0064260_20365210.jpg
c0064260_20372980.jpg
c0064260_20374123.jpg
c0064260_20363239.jpg

METの観客のマナーの悪さが目についた。カーテンコールが始まると席を立ち始め視界を遮るだけでなく拍手している人々を立たせてまで自分が帰ろうとする非常識な女性の多いことには驚いた。また、アリアが終わらない前に拍手やブラヴォを飛ばす恥ずかしい観客も多かった。ヨーロッパも酷いと思ったがMETは想像以上に悪くなっている。


c0064260_20440148.jpg

デズデーモナ役のブルガリアの歌姫ソーニャ・ヤンチャバがブレイクする日も近いだろう。彼女はアンナ・ネトレブコの代役にも抜擢されたほど実力のあるソプラノ、METで主役を取れば二三年後には必ず売れ始めるジンクスで活躍が楽しみだ。


c0064260_21003978.jpg


アフターアワーはMET前のいつものイタリアンで祝杯を上げながら行く秋を惜しんだ。


c0064260_20425825.jpg
c0064260_20424575.jpg
c0064260_20423019.jpg
c0064260_20431509.jpg








by hal4550 | 2015-09-22 21:00 | 演奏会

トリスタンとイゾルデ





ARVEANAホテルに真夜中に着いた、チケットは約束通りホテルに届いていたから安心した。280euを990euで買ったのは複雑な気持ちであるが、トリスタンが良く買えましたねと翌日の朝食バイキングで知り合いになった日本人たちから羨ましがられた。彼らは八年待ったそうである、それが四倍近くとはいえ買えたことは嬉しい。ホテルのインフォメーションボードにもチケットを売りたいと書いてある。正規料金で買うなら祝祭歌劇場の左手チケット・オフィス、ここはキャンセルになった僅かなチケットを当日分に限り13:30から売り出す。ここもプロの並び屋はいるが可能性は皆無ではない、根性があればチケット求むのカードをかざして二時ぐらいから待てば買えないことはないだろう。安く買えるか高く買わされるかは腕次第、ホテルで買うのが一番確実だろうがホテルは一切仲介しない当人同士の直接交渉、何れも本当に余っているのではなく転売を前提にしたシンジケートのチケットなので高く売ろうとするから座席表を持参して確認しながらの交渉が功を奏するかも、必ず現金現物引換えにすること。

c0064260_02473363.jpg


ぐっすり眠りバイキングの朝食を食べに降りて、そこで知り合った日本人夫婦と情報交換で昼食をご一緒する約束をした。それまでにパソコンの部品を買いに近くのメディアマートに行ったり、祝祭歌劇場まで下見に歩いて行った。地図をもらっていたが尋ね歩いて行ったので三十分程かかったが街並みが新鮮でとても楽しかった。アプローチの道から上方を見ると祝祭歌劇場の屋根が見える、途中にモネの睡蓮の池を模して作ってあるのは笑ってしまった。楓の街路樹のアプローチはそよぐ風がとても心地良かった。段々劇場に近づくと写真で見覚えのある風景が見える、とうとうバイロイト祝祭歌劇場に来たと云う実感が湧いてきた。直管トランペットで入場開始のファンファーレが鳴るバルコニーもある。

c0064260_23591596.jpg
c0064260_00000787.jpg
c0064260_00010415.jpg
c0064260_00003053.jpg

建物が奇麗過ぎて不思議な気がした、暫くすると外灯も横に付いていたので初めて写真であることに気が付いた。外壁修復中で巨大な実物大の写真を貼り付けてある、さすが祝祭歌劇場である精巧な修復中の壁は見たことがない。ワーグナーの銅像前でデンマーク人のグループと話をしている内に十一時からトリスタンの事前説明会があると教えてくれた。チケットを提示するだけで入場できると云うので入ってみた。祝祭歌劇場の中は素晴らしい、横に長く奥行きは50列ぐらいか縦も40列ぐらいありそうだから二階の座敷牢を入れても2,300席がキャパシティだろう、結構大きなホールである。説明はドイツ語である、舞台の間口は真四角で初めて見る様式でワーグナーしかやらないから問題は無いのだろう。説明会には数百人が集まっていた。ドイツ語は全く分からないがトリスタンのことワーグナーのことは良く知っていたのでかなりの部分が理解できた、それでも一割ぐらいであるが舞台を見るうえで大切な情報を知り得た。

c0064260_00031166.jpg
c0064260_00033640.jpg

12時半にoskarと云うレストランで約束した夫婦と会った。旅先で袖触れ合うも多少の縁と云うが食事をしながら色んな話をした。オペラの話は勿論だが仕事の話、子供の話、この年にならないと出来ない話はいくらでもある、話は尽きないが4時に祝祭歌劇場に着くためには2時までにはホテルに帰った方が良いと云われ夫婦と別れた。彼らは土産を買いに横のデパートによると云う。



夕方と云っても四時だとまだ陽は高く気温も30℃は超えているが日本のように暑く感じないのは湿度であろう、正装ではないが蝶ネクタイを締めて祝祭歌劇場へタクシーで向かった。ホテルからのバスも出ているそうだが面倒なのでタクシーを呼んでもらった。ごく僅かであるが正装の男性もいるが概ね自由な服装である、可笑しいのはちんちくりんの日本人が正装した姿である、本人は到って真面目に用意したのであるが似合わない、知ったかぶりしてガイドブックの受け売りはやめた方が良いと実感した。礼を失しない限り何でも許される、自分に似合う格好をしようと思った。ホテルを出る時に猿廻しを見て慌てて部屋に帰り金ボタンのブレザーにアイボリーのパンツを合わせた、リスボンで誂えたエメラルドグリーンのドレスシャツに蝶ネクタイは自分でも似合うと思っている、あるいは猿廻しに見えたかも知れない。

c0064260_00092659.jpg

テイレーマンの演奏は良い、バイロイトを上手く手なづけている。これが指輪だったら物足りないだろうがトリスタンなら丁度良く素晴らしい。いろんな人に今年の指輪の話を聞くと、ペトレンコの指揮は素晴らしかったそうである、残念なことペトレンコは2018年からラトルの後を継いでベルリンフィルの常任指揮者になることが発表されたからバイロイトは今年限りと云うことらしい。

c0064260_00083903.jpg

バイロイトの席はスロープになっていて通路は傾斜が付いている。オケピットは深く席からは見えないが音楽は上に立ち伸びる、特にワーグナーの金管楽器は素晴らしいものであった。勿論、弦も素晴らしく少々粗目であるがコントラバスのアルコは凄かった、ワーグナーらしく空気がそよぎ驚く。

c0064260_00063364.jpg

演出はマリック・エッシャーのだまし絵階段をモチーフに大道具で作った複雑な構造の可動式だまし絵階段である。残念ながら写真は撮れないのでネットで絵を拝借した。無限ループを使いながら愛情の破局は階段が突然落ちて行き来が出来なくなった様子を表現していた。大掛かりな舞台仕掛けを使った演出はとても楽しい。ソリストのトリスタンもイゾルテも良かった、マルケ王は若者で威厳に欠けるが歌唱は素晴らしかった。

c0064260_00241079.jpg
c0064260_00083012.jpg
c0064260_00085052.jpg

悪評の堅い椅子はやはり辛いし冷房は無い、時折森を渡ってくる涼風が涼しく感じるのもバイロイトならではである。途中二度の休憩はシャンパンを楽しみ、日本人夫婦とも話をした、多分ニューヨークであれば話しかけもしないだろうがバイロイトと云う所がそうさせるのであろう。みんな大変な思いでチケットを手に入れていることが分かり慰めあっている。たいがいは八年待ちと云うので280EUの席を990euで買うのはそれ程高い買い物ではないと云う気になってきた。ところでどこでもあるテキストの表示は無い、ドイツ語すらなくてブックを買わないとメロディだけが頼りである。ドイツ語以外のアナウンスもなくて推測するしかない。四時からスタートして十時半までの長丁場よくぞ耐えたと思う。これを指輪で四日連続私には修業が足りないので無理、早速ザルッブルグのチケット獲得に動いた。座布団持参の人も多い、終わってみれば暑さも椅子の堅さも気にならなくなったが兎も角ザルツブルグヘ行くことにした。ザルッブルグは八時半のスタートだからゆっくりでも間に合う、と思ったのが間違いだった。国際時刻表の読み方を知らなかったことに原因があるのだが、続きは後で書く。

c0064260_00080303.jpg
c0064260_00093990.jpg






by hal4550 | 2015-08-26 06:00 | 演奏会

バイロイト音楽祭とザルツブルグ音楽祭





わずか四日間で二つの伝統ある音楽祭を観れたことは幸せである。五味康祐が愛したバイロイト、瀬川冬樹が憧れたバイロイト、ワーグナーを聴く者が一度は訪れてみたいドイツの田舎町である。バイロイトへ行きたいと思い始めたのは六月だった。直ぐにチケットを探すとオランダ人が一枚有った、プレミアムチケットで真ん中の良い席だが750euもする、躊躇しながら更に一週間後にはトリスタンとイゾルデが990eu邦貨14万円両方で二十五万円のプラチナチケットであるが、両方取れるならバイロイトへ行こうと思ってクリックした、問題はそれからで幾ら待ってもチケットは送ってこない、出発一週間前にようやくメールが届き席が決まったそうだ。チケットの受取方法についてホテルに預ける約束で出国した。今までの経緯を考えても果たしてチケットが届くか心配である。


バイロイト祝祭歌劇場

c0064260_16593385.jpg

ザルツブルグ祝祭歌劇場

c0064260_16585638.jpg

フルフラットシートで快適にフランクフルトに到着、予め調べておいた、フランクフルト->ニュルンベルグ->バイロイトの電車が無いと云う、取れたチケットは三回乗り継ぎでバイロイトに付いたのは二十三時過ぎであった。途中、車窓の景色は二十一時だというのに太陽はまだ沈まない北欧の白夜というのも想像できる。兎も角ホテルまでタクシーで行きチェックインするや否や何か届いていると聞くとチケットが届いていた。席は別にしても音楽祭に行けることが叶った、いざとなれば当日券やダフ屋から或いはホテルで買うことが出来ると踏んでいたのだが、これで安心。


南ドイツの鉄道地図

c0064260_17020887.jpg

バイエルン王国の首都ミューヘンから二百キロ離れたバイロイトは小さな街である。ルートビッヒに庇護されたワーグナーが晩年を過ごした地でワーグナー音楽演奏の完成を築き上げた処である。王宮もあるが辺境伯爵の歌劇場とバイロイト祝祭歌劇場があるだけでワグネリアン以外には興味を持たれない田舎町である。街も緑が多く歩いて三十分で廻れる本当に何にも無い街であるが七月末から八月末までの一ヶ月間は世界各国からワーグナー崇拝者達が集まる。毎晩ワーグナーのオペラだけをやっている、まさにワーグナーが望んだ理想郷である。とくにパルジファルはこの祝祭歌劇場のために作曲されワーグナーの死後三十年間はこの地以外では演奏を許されなかったと云う。



泊まったホテルはワーグナー協会の会員が大勢泊まるホテルで沢山の人と話をする機会があった。皆さんチケットには苦労しているらしく八年待ちというので驚く、もっとも一年前に残りのチケットが売り出されるので可能性はあるだろうが大変な事らしい。それと指輪の指揮者でペテレンコ、私は初めて聞く名前だが2013からバイロイトで振っている若手指揮者の評判が良い、それも2018年からベルリンフィルの常任指揮者になるから今年が最後と騒いでいる、三年も先の話にワグネリアン達は興奮している。演奏会は先に書いた通りとても良かった。色々物知り顔で演出を批判する人は多い、指輪の演出も型破りだったらしく、ブリュヒンデが最高音を外してがっかりしたという人もいたが音楽はその一瞬だけでは無いのでがっかりすることもあるまい。


バイロイトの観光地図

c0064260_17030585.jpg

ザルツブルグも列車には苦労した、バスを乗り継ぎ列車を乗り継ぎ開演二時間前には着いたのでゆっくりザッハトルテを楽しめた。しかし、これが唯一のザルツブルグでの食事であったことは残念だった。演奏会も素晴らしく、世界一取り難いチケットと云うのも納得できる。ウィーンのニューイャーコンサートも同様だろうが、金さえ出せば方法は幾らでも有ることが分った。バイロイト音楽祭はバイロイトの良さがありザルツブルグ音楽祭はウィーンの良さがある。両方続けて聴いてその良さが分った。ザルツブルグ音楽祭は観光客が多すぎるのでじっくり楽しめたとは云えない、マナーの問題である。写真もフラッシュを光らせてお構い無しである。ただテキストを英語で表示してくれるのは助かる、バイロイトはそのようなサービスは一切無い。


ザルツブルグの観光地図

c0064260_17034607.jpg

来年もチャンスがあればバイロイトの拷問に耐えたいと思うのはワグネリアンの性かも知れない。最後に気が付いたことであるがドイツはいまでも一つの国家ではなく数多くの自治領からなる連邦国家である、ドイツは神聖ローマ帝国を基にバイエルン王国から近代国家を歩き始めたそうである。このへんはイタリアの国家形成と同じであるが近代国家として団結する意義を充分に知りえている事であろう。日本も江戸時代は自治領からなる国家であり世界的に近代国家の始まりは二百年ぐらいであると考えれば面白い。因みに中国は四百年前から単独国家として明清と続いたが不幸な出来事もあり近代国家として中華人民共和国が独立して七十年になる。










by hal4550 | 2015-08-25 18:00 | 演奏会

ハレ・ベトナム




ハワイに来たら必ず寄る店が何軒かある。特に食べ物に飽きた時にお奨めなのがカイムキにあるHale Vietnamである。


c0064260_05392444.jpg

ワイキキからタクシーでも$15で決して遠くないので、最近は旅行客に人気がありローカルが迷惑しているそうだ、おいしい店である。店に入ると出迎えてくれるのがバンザイ布袋さん。

c0064260_05393763.jpg
c0064260_05403942.jpg


頼んだものは揚げ春巻きと海鮮ホー、OXテールホー、それにバドワイザーが三本、チップ込みで$50ぐらい、ほかの料理より格安である。


c0064260_05395026.jpg
c0064260_05400340.jpg
c0064260_05401574.jpg
c0064260_05402888.jpg


この店は昔、知人に連れてきてもらった。彼女は10歳ほど年長だが仕事仲間で色々世話になった。癌を患い、もう長くないと云いながら10年以上生き永らえた。最後は会えなかったがきちんと身の回りを整理して亡くなったそうだ。




連れて行ってもらった店で、おいしかったのはワイキキの心玄という蕎麦屋、ニミッのサムチョイ、チャイナ・タウンのレジェンド、ユニバーシティ通りのはなまる、みんな安くて美味しいところです。食べるところに困ったら寄ってください。



by hal4550 | 2014-04-04 06:00 | 演奏会

VillageVanguardと云う処は




オペラが終わってから夕食まで時間があったので、知人への土産を買った。そして、前から気になっていた57丁目のロシアン・ティーの店に入った。なかは別世界の金ぴかである。客筋もやはりロシア系の家族が多く、壁にはシャガールの油絵やマジンスキーの抽象画が一面に飾ってある。ロシアンティーとスイーッを注文、いつも家で愛飲しているKusumiTeaに近く素晴らしくおいしい。フランスやイギリスの紅茶とはフレーバが決定的に違う。

c0064260_04391722.jpg
c0064260_04392953.jpg
c0064260_04394704.jpg


57丁目のNOBUで食事を済ませた後、少し物足りなく思ったのでVillageVanguardに行くことにした。外は雨である、多分こんな日には予約が無くても大丈夫と踏んだが、これは大失敗だった。雨の中タクシを止めるのが難しく大変だったが、ともかくグリニッヂ・ビレッヂと7AveにあるVillageVanguardでタクシーを降りた。客はまだ並んでいない、案内係は十時から客を入れると云うが、予約がないと云うと途端に冷たい扱いで、一番後ろの列外で待っていろと云う。冷たい雨風が吹くなか傘をさして予約客が列に並ぶ度に最後列に追いやられる予約なしが20人あまり、結局一時間雨風の中で待つことになった。こうなれば意地である、予約なしでは一番前だったが体もすっかり冷え切って靴もズボンもびしょ濡れになった。




ともかく、予約客が全員入ってから予約なしが16人だけ入れた、可哀想に長い時間待って16人に入れなく追い帰された人達もいた。彼らの思いを込めてトイレの便器の写真を撮った、何の意味も無いのだが糞ということだ。

c0064260_04401692.jpg

演奏は古いエイトビートのスタイルでピアノ、ドラム、サックス、ウッドベースのリーダはサックスのジミー・ヒース、随分お爺さんだったが演奏は良かった。最後に若い女の子とサックスの二重奏、彼女を友達と紹介したがガールフレンドにしては若すぎる、孫娘ではないかと思う。彼女の演奏はJimmy Heathより太くぎこちないが客は温かい拍手をくれてやる。私達は時間もなかったので早々と切り上げた。店内はまだまだ盛り上がっている。
c0064260_04400344.jpg
c0064260_04402983.jpg

この前から感じていたが、この頃のVillageVanguardの店員は偉そうにしている。演奏中に携帯を触っている最後尾の客に携帯を触るなとか、演奏の邪魔にもならないほどの小声で喋っている客に注意したり、CDを買いに行っても後にしろと取り合わない、奥のトイレの前で暇そうにしている例の案内係男のことである。随分横柄である値段も高くなりチャージが30ドルと二倍になっていた。年に二回しか行かないので我慢するしかないが、予約をしなかったので待つのは仕方ないとしても従業員に問題があるように思う。十時入店の筈の予約客も雨の中ずぶ濡れなりながら三十分以上待たされている。VillageVanguardが悪い訳ではないが、老舗の人気に自分が偉くなった気になっている店と従業員がいるのだから、やはり教育が成っていないと云うことだろう。数年前の正月にNewYork BlueNoteを予約したとき、寒い夜、長い時間外で待たされたことを思い出した。聞いてみると殆どが観光客である、地元の人は駄目でも観光客はここまで来て諦める訳が無いと踏んでいるのか。いずれにしろ予約が取れたとしても寒い夜と雨の夜のJAZZは絶対に止めた方が良い。




十二時過ぎにタクシーを拾い、ホテルに帰り着いてから荷造りを始めて寝たのが二時過ぎで早朝便のため四時半起床になった。朝七時の便でLAX経由でホノルルに向かった。ホノルルでは地獄が待っている。


by hal4550 | 2014-03-31 12:00 | 演奏会

夢遊病の女



トレーニングの後、少し早いブランチと云うべき朝食を57丁目カーネギーホール近くのヨーロッパカフェでとった。ここはいつも満員で期待を裏切らないので好きである。ポウルでサービスされるカプチーノは夫婦とも大好きである。


c0064260_03541995.jpg
c0064260_03543880.jpg
c0064260_03545833.jpg



小雨の中オペラハウスに向かう、語源は知らないが昼間に行われるオペラはマチネと呼ばれる。夢遊病の女、主役アミーナのアリアはとても難しく音楽大学の上級学生が試験で歌う時に抑揚の加減が非常に難しい難曲アリアとして知られている。



レコードでも中々良い盤がなくて、カラスのモノラルであるがエンジェルオリジナル盤が最高に良い。最近ではネプトリコの夢遊病の女を買ったが聴いていない。オペラでも見る機会が無くて実は初めて観るので期待が大きい。



アルプスの田舎町を舞台にしたオペラであるが、演出はひどくがっかりした。現代風の音楽のレッスン場を舞台にしてリーザもメガネのハイミスの設定になっている。ストーリが分らないと何が何だかさっぱりである。主役アミーナはダイアナ・ダマール、中堅どころであるが素晴らしい歌手である。夢遊病の女のタイトロールを歌うに相応しい歌い手である。相手役のエルビーノはJavier Camarenaテノールは私は知らない人である。名前からするとイスラム系の人と思えるが顔つきはむしろ中国人に近くひらべったい顔で背も小さいので損をしている。素晴らしい声であるが私は好みではない。

c0064260_03585260.jpg

圧巻はロドルフォ伯爵でMichele Pertusiバスバリトンで低い声も演技も存在感があり素晴らしかった。第一幕の演出はちぐはぐで良くなかったし、第一幕最後の混乱のシーンは村人が紙を撒き散らしたり家具を引っくり返す演出はどうも納得できない。中途半端な現代劇スタイルは止めにして欲しい。



休憩の後、第二幕は伝統的な演出に戻った。スイスの民族衣装で丁寧に舞台が進む。指揮はMarco Armiliatoで若くもないがMETでは新人なんだろう、演奏はとても良かったように思う。特に低音楽器が充実しているように思う、テレビ中継やDVD等もあり、年々METは良くなってきている。客の入りは満員でDamaruの人気のお蔭だろう、素晴らしい。

c0064260_03591095.jpg


夢遊病の女の見せ場は最後の最後にある、アミーナのアリア、これはベルリーニのベルカントの真髄を聴かせてくれる素晴らしいアリア「嬉しいこの胸」、演出も素晴らしく、突然倒れているアミーナの舞台がセリ出し、オケボックスの指揮者近くまで細長く伸びた、これには皆が驚いた、怖さも無い訳がないと思うがダマールは素晴らしいベルカントで歌い上げた。その細いセリ出しをエルビーノと母親が駆け寄るところは見ている方がハラハラする、ここまでやる必要があるのだろうか、一つ間違えばオケボックスに転落である。やはり、この演出家Mary Zimmermanは問題がある。

c0064260_03575947.jpg
c0064260_03582539.jpg
c0064260_03581394.jpg


何と最後の最後にDamaruが側転宙返りを二回連続でやったのには観客全員が驚いたが拍手喝采のうちにオペラは終わった。マチネは明るいうちにオペラが終わるので後の時間が使いやすい、夜のボエームを見るか、ジャズを聴きに行くか、などなどである。



一日中雨が降り、散々なニューヨークだったが素晴らしいアリアを聴けて幸せだった。夜は57丁目のNOBUで食事をする、結婚40周年のお祝いをした、私からのプレゼントはカートリッジ二個分の石である。


機内でブログを書き、JFKやLAXのデルタ・スカイラウンジでアップロードできるから便利である。


by hal4550 | 2014-03-31 06:00 | 演奏会

Andre Chenier メトロポリタン歌劇場




ニューヨークに昼遅く着いた。JFKからセントラルパーク近くのホテルにチェックインすると手早く用事を済ませて、向かうはメトロポリタン歌劇場。辺りもすっかり暗くなり着飾った紳士淑女が集りだす。

c0064260_03344241.jpg

初日はアンドレ・シニエ、このオペラは余り馴染みは無いが、中古レコード(デッカ赤ビニール)では高値が付くことで有名なレコードである。オークションで何度も競り負け、ようやく手にした時はとても嬉しかったので身近な存在であった。


物語としては全く面白くないが初めて観るので興味はある。指揮者はMETではお馴染みのノセダで、音楽は随分としっかり楽団員を手懐けたようで低音楽器が特に良く、高音楽器は弦が少ない構成のためか粗く感じる。客の入りは八割強で、まあまあである。

c0064260_03350202.jpg
c0064260_03352658.jpg

演出はNicolas Joel、クラシカルな演出で安心した。主役、アンドレ・シニエ(テノール)はMarcelo Alvarez、お相手のマッダレーナ(ソプラノ)はPatricia RacetteはMETの主役を次々こなす注目の歌手、ジェラルド(バリトン)はZeljko LucicこちらもMETではベテランである。休憩が二回あり、幕間転換もあり三時間半の長い物語である。

フランス革命を舞台にした物語であるが抑揚もなく退屈である。男声アリアが多いプリズモオペラらしく各所にシニエの聴かせ処があるが全体にストーリも音楽も退屈であった。途中休憩にポワィエでMOETのピンクシャンパンを注文したが随分と高かった。
c0064260_03354232.jpg

オペラが十一時過ぎにはねたあと、真向いの行きつけのイタリアンで選り取りの野菜タパスを6種とパスタ、それにイタリアワインの至宝アマローネで祝杯を上げた。

c0064260_03371072.jpg
c0064260_03372320.jpg



翌朝は早起きしてホテルのフィットネスに向かった。マシンは一揃いそろっているがインストラクターは居なく、水や果物のサービスはないのでがっかりだ。それでもランとバイクとマシンで一時間みっちりと鍛えた。体重はこの数日間は忙しくトレーニングをさぼっていたので少し増えていた。

c0064260_03384684.jpg

by hal4550 | 2014-03-31 03:48 | 演奏会

べるぜバブの呪い

べるぜバブの呪い、意味不明の呪いは、ハイテク魔術で解けた。



いまは無数のパイプで生命維持装置につながれ、生きている。  NO LOADも赤く光らなくなった。パネルはターコイドブルーが点灯している。
c0064260_1103582.jpg

c0064260_111057.jpg

いまは無機質なシグナルしか通されていない、リハビリして元の処へ帰る頃にはハイテクでしっかり調整されるだろう。






「べるぜバブの呪い」っていったい何なの?
by hal4550 | 2013-10-07 11:09 | 演奏会

旅の途中

度量換算は苦手である。華氏摂氏換算は丸で駄目、ポンド->Kgもマイル->Kmもピンとこない、換算は分るのだが実感が伴わないのである。


日本で75Kgだった体重が174LBになり驚いた、ポンドだと凄くデブになった気がする。移動時間が多くニューヨークでは二日間ハワイでは二日間のトレーニングしか出来ないが汗量がすごい、今朝は168LB、普段の体重165LBに戻すには相当根性が必要だ。朝六時、一時間みっちり運動してから仕事に出かけることにしている。


ニューヨークのホテルのGYMは設備がよかった、ハワイもGYM設備は良いのだが、マシンが格段に違う。良いホテルの条件は、私の場合、先ず良いコンシェルジュが居るか、そしてGYM設備である。

早朝五時六時から名々がひたすらマシンを相手に励んでいる。セントラルパークをワイキキを走る爽快感もあるだろうが、わたしはやはりGYM向きである。脈拍数をモニターしながら呼吸を調整して走るのがわたしには一番である。

大した距離を走る訳ではないが、スピードや勾配を脈拍に応じて変化させるのも面白い、本当に面白いのである。距離にして4マイル、8MPHで変化をつけながら走るのは苦しいが30分間の格闘が面白い、負けたら停止すれば良いのである。

ただマシンの場合、過負荷も結構頑張れるのだが落とし穴がある、先日50Kgに挑戦したら血圧が上がり過ぎて、眼底出血を引き起こしてしまった。過去に何度かやっているので、しまったと思った瞬間の出来事である、動脈硬化を抱えている中高年の過負荷は厳禁である。還暦三年生175cm75Kg年寄りの冷や水だからお笑い下さい。

c0064260_5205933.jpg

c0064260_5213476.jpg

c0064260_522668.jpg


昼間の仕事を片付けてDardaさんとお会いした。相変わらずナイス・コロである、ROCOはハワイで生まれ育ったローカルを指す言葉だそうだが皆Dardaさんのことをロコだと思って話かける。すっかり溶け込んだDardaさんとお知り合いになれたことを嬉しく思う。
c0064260_5223519.jpg

by hal4550 | 2013-09-27 06:00 | 演奏会

METガラ公演オペラ・オネーギン


夏が過ぎ、普段ならSeptember songのことを書くのだが、色々有り過ぎてままにならぬまま時は去ってしまった。



今シーズンのMETは異常な幕開けだった、チケットのことは以前に書いたが、当日METに来てその異常さに驚いてしまった。
ガラ公演はチャリティでチャイコフスキー作曲EUGENE ONEGINを主演アンナ・ネトレプコ、指揮はワイリー・ゲルギエフ、最もホットな組合せで公演される。



丁度国連でも特別な状態が続いており国連本部付近はNYPDの警戒が厳しく近づけない、そして近くの五番街もセキュリティに守られた各国要人が繰り出しすごい数である。シリア問題が片付くまでマンハッタンは異常な状態が続く印象を実感した。


c0064260_20334080.jpg




話を戻すと、MET前の噴水はもちろん広場全体に囲いがされ椅子が並べられMET玄関口の上に巨大スクリーンが設営されている。ガラコンサートをライブ中継するようだ。有料無料は判らないが椅子に番号が振ってあるところをみると自由席ではない。
c0064260_20311964.jpg

18時30分開幕であるから18時に入場したら中も異常な状態だった。殆ど全員が正装か準正装だった。今までのMETでは見たことのない雰囲気。英国貴族だろうか羽根付帽子にタータンチェックのスカートの正装、また、シルクの羽根付黒マントの紳士達、民族衣装、連れの女性も派手なイブニングドレスである。中でも目を引くのがアラブの王子だろうか金刺繍の素晴らしい衣装、中国高官の息子だろうかドラゴンの一際目を引く衣装などなど、女性のお洒落は見慣れているが着飾った男性は初めてで見ているだけで堪能してくる。
c0064260_20322237.jpg

c0064260_20315059.jpg

c0064260_20325129.jpg




開演ベルが鳴り、暗中アメリカ国歌が演奏されると全員起立して右手を胸に当て、素晴らしい声で観客全員が歌っている、日本では考えられない素晴らしい光景である、これもびっくりした。プラハでも同じ光景に出合ったが、新年をMETで何回も経験していても国家斉唱は初めてである。そのあと、ゲルギエフ登場。
c0064260_20371184.jpg




チャイフコスキーのオネーギンが始まった。放蕩貴族の気が付いたら後の祭りと謂う他愛もない物語であるが、MET版オネーギンをWOWOWで見たので違和感はない。演出家の途中交代など不安な要素もあったが伝統的な演出で安心した。ゲルギエフの音楽は素晴らしい、前のサイモン・ラトルでも感じたがMETのオケの音楽ががらりと変わる。ベルリンやウィーン、ミラノよりもオペラに関しては世界一かも知れない、それほど上手い。チャイコフスキーにしては編成が小さいが、しなやかな弦と木管、そして何よりも驚くのが低音楽器群の変化である。しなやかではなく、むしろベルリンよりも重厚な低音楽器である。さすがベルリンの指揮者ゲルギエフならではの音楽。



知っているチャイコフスキーの暗い音楽ではない、祭りの場面やオルガのふざけて居る場面は違和感のない明るい音楽をしっかりと表現している。オペラをどう聞かせれば良いかを全て心得ている、並の指揮者ではこうは行かないだろう。ネトレプコのタチアーナであるが、やはり素晴らしかった、文句なしのプリマ、出産のブランクなんぞ微塵も感じさせない美しく表現力のあるソプラノだ。オネーギン役のMクヴィエンチェンもオルガ役のOヴォルコヴァもレンスキー役のPベチャワも負けず劣らず素晴らしい舞台を魅せてくれる。三時間半の長い舞台だが飽きさせない素晴らしいオペラだった。



上は$1750席のパーティ会場、下は一般のポワィエ
c0064260_20354652.jpg



途中の休憩で外に出てみると、椅子席も満席で二千人近い観客がスクリーンを観ている。九月下旬とは云え50Fの寒空にである、このような異常なガラコンサートは初めてである。先にチケット購入の時$1750の席が満席になるとは考えられないと思ったが、一席も空きがない本当の満席であった。そしてチケットを買えなかった人々はこの素晴らしい舞台を屋外席で見ていたのである。わたしはネットで発売と同時に運良く$300の席が取れたが、本当にプラチナチケットであったことは間違いなかった。そして、$1750チケットの人々がどのような連中かも実際に目にして良かったと思う。


華氏50F(10℃)寒空の屋外席
c0064260_2035215.jpg

中継の大スクリーン(この画像が映画になると思う)
c0064260_20362738.jpg

タチアーナの夫ドイツ大使、オネーギン、タチアーナ、レンスキー、オルガ
c0064260_20375331.jpg

ゲルギエフ登場
c0064260_20382361.jpg

一番拍手が多かった好評のレンスキー役Pベチャワを称えるゲルギエフ
c0064260_20385322.jpg

女性演出家Dワーナーの降板を受けて引き継いだ弟子のFシロウとゲルギエフ
c0064260_20391240.jpg




オペラが跳ねたらいつもの店で乾杯。
c0064260_20402026.jpg


それにしても野外席まで作り満席の凄い人気、世界中どこを探しても今はこういうことは無いだろう。
c0064260_20405892.jpg



そして次の日は朝四時起きで空港へ向かい、機内でブログを書いている。アトランタ経由で13時間かかるがハワイに着いたらアップしようと思っている。



あらすじは松竹映画のMET OPERA(2013年11月公開)より引用すると

かつて告白された「愛」の価値に気づいた時、その女(ひと)はすでに人妻だった・・・。取り戻せない恋の痛みを描いてすべての人の共感を呼ぶチャイコフスキーの傑作オペラが、オープニングに登場!ヒロインの想いがほとばしる「手紙の場」、美しくも切ない辞世のアリア〈今日の日は僕に〉、華麗な舞踏会など見所聴き所が目白押し!ロシアの歌姫A・ネトレプコ渾身のヒロインと、世界をリードする巨匠V・ゲルギエフのタクトに胸が高鳴る。
19世紀のロシア。地主の娘タチヤーナは、空想好きな文学少女。ある日彼女の前に、妹オリガの婚約者レンスキーの友人で放蕩貴族のオネーギンが現れる。彼に惹かれたタチヤーナは恋文をしたためるが、相手にされない。舞踏会でオリガを何度もダンスに誘ったオネーギンはレンスキーと決闘になり、相手を倒して放浪の旅に出る。数年後、オネーギンはグレーミン公爵に嫁いだタチヤーナに再会。美しく成熟した彼女に恋心を燃やすが・・・。



素晴らしい、オペラです、チャイコフスキーのオネーギンの印象が変わります、是非映画館で見て下さい。
by hal4550 | 2013-09-26 00:00 | 演奏会