HAL4550

さまよえるオランダ人





ザルツブルグを十時発のミュヘン行きのICEに乗ったが駅手前の徐行運転で接続に十分以上有った筈の列車はホームには無かった。時刻表で次を調べてニルンベルグまでは旨くつなげたがニルンベルグからバイロイトが大変だった。ホーフまで行って大回りで電車を二回乗り継いで戻りバイロイト駅に到着したのは十七時四十五分、結局八時間かかった。急ぎタクシーでチケットを取りにホテルへ立ち寄り、祝祭歌劇場に到着したのは二分前ギリギリ間に合った、何事も諦めず努力し続ける事が肝心だ。


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バルコニーでのファンファーレが鳴り響き入場は始まっていた、中央の真ん中の席だったのでみんな立って待ってもらっているのには恐縮した。席は最高で両隣は美女二人でご機嫌、小錦二人に挟まれたザルッブルグとは大違いだった。


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音楽が始まった。昨日のウィーンと比べると音は荒いがワーグナーらしくとても良かった。いつも聴いているワーグナーの音がする。演出はギョっとした。舞台いっぱいに三面に大型の液晶モニターが沢山配置してありタイマーが高速で動いている。またかと思ったが、どうも意図があるらしくそのままじっと見ていると、やがて一見して分かる中国人の男がオランダ人船長役で出てきた。頭の様子が変である、半分が部分的に禿ている、そうか円形脱毛症化と気が付くのに随分時間がかかった、ストーリが半分ぐらいで漸くストレスによる円形脱毛症を表現していると分かった、部下も半分ぐらいの親衛隊らしき者達は全員円形脱毛症である。このオランダ人船長はビジネスマン社会を表現している。扇風機を作る工場を経営していてお金は有り余るほどあると云う設定、現代の中国人の比喩だろう、中国人を使ったのは面白い。かって日本人もこれぐらい皮肉られたことがあった。とても良くできたストーリと演出だった。デジタルと映像を巧みに使いこなし、嵐の場面や時間の経過や感情の表現、深層心理の表し方などは本当に良く考えてある。原作のオランダ人船長を知らないと理解できない危ういところはあるものの良く出来た演出だった。

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途中の休憩はなく通しで二十時半には終演した。外はまだ陽が高く、私の左肩に座っている女房とシャンパンで乾杯した。街に出ても一人では仕方ないと思い祝祭歌劇場のレストランに入った。ドレスアップした紳士淑女が食事をしている。メニューはシャンパン・赤白ワイン付きのフルコースでも98euと安く、余り食欲はないがホテルで食べるよりかましだろうと思った。料理はやはり塩辛いので口には合わない、昨日もおとといも今度の旅は美味しい食事には縁がなかった。


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機内で文芸春秋を読んでいるとドイツ人がヨーロッパで嫌われていると書いてある。気になったので読むとギリシャ問題である、ドイツ人は勤勉だが自分たちの考えを押し付けて逃げる隙も作らないそうだ。ドイツ人は自分たちが努力して倹約しているから支援を受けるためには当然質素倹約に励めというのは分かるが、フランス人やイタリア人は相手のことを尊重して配慮しながら助けるそうだ。あとミュヘンで列車を乗り継ぐときに物凄い光景を目にした。ホームからサッカーファンだろうか団体で歌を歌いながな降りてくる、どこの国でもサッカーファンは困ったものだが、一糸乱れぬ行進と轟く合唱には恐怖すら感じた。強制されることなく自分の意思で怒涛の群れを組む、これは異国人、特に大戦中に被害を受けたユダヤ人、フランス・ポーランド始め周辺国からは嫌われる、勤勉さゆえに嫌われるのであろう。同じ敗戦国で復興した国だが、やはり、ドイツ人は日本人とは全く違う人々である。


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    最後まで拙文お読み戴き有難うございました。 おわり







by hal4550 | 2015-08-28 06:00 | その他