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HAL4550

グラムフォンとベーム




さて、ジャズも落しどころが分かったところでクラシックを聴いてみた。中途半端な慰めは要らないので、多分最悪な結果を予想して黄色いレーベルを乗せてみることにした。




結果はやはり最悪だった、ジャズを一番良いところに持って行くとクラシックは最悪の見本みたいなところである。EMT+VDHはジャズに残し、針圧を弄るよりクラシックは別口で調整する事にした。

その最悪コンビとはグラムフォンとベームである。むかし、JBLではクラシックがなかなか鳴らなかった、シスコンの方が余程ましであった頃を再現したかのようなひどい薄っぺらな音楽である。
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別系統のオルトフォンSPU-G+(カーボンケーブル)+JC1DC+ML6-Lへ換えてみるとベームのウィーンの懐かしい演奏がそこにいた。不遜だがオーケストラはステージに広がる楽器の数の分解能が気になる、弦の数がはっきりと一本いっぽん聴き分けられるのが良い、管楽器も何本かの楽器が一本いっぽん聴き分けられないと気持ち悪い、そのうえで綺麗にハーモニーするクラシックが好きなのだ。ジャズとクラシックでは聴いているところが違うと云いながら、やはり分解能が気になるらしい。しかし、いつもこう云う聴き方をしている訳ではないことを釈明しておかなければならない。

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ジャズに比べると、やや沈んだ暗めのステージが目の前に広がる。JC1DCの電池が気になったので交換してみることにした。MAXELLの単一アルカリ電池が入っていたが電圧は1.21v、PanasonicのEVOLTAは交換時の電圧が1.32vであったが新品EVOLTAは1.6vを軽く越える電圧である。電池による音の差であるがEVOLTAは明るめのファンキーな音で細かい弦の数までは分からないがステージに奥行きがでる、一方MAXELLは暗めでシルキーな音は細かく弦の数が数えられステージは横に幅広くひろがる、グラムフォンのレコードにはMAXELLの方が合うようだ。しかし、MAXELLはノイズが乗りやすく消耗が早いのが欠点である。
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試聴に使用したベームのグラムフォンだがベートベンの第九と第六である。第九はアナログ録音(1972年)と最後期のデジタル録音(1981年)であるがどちらも素晴らしく、アナログ録音はゆったりとうねるような出だしで全体的に良い、デジタル録音は少し早足で急かされているが細かい表現もしっかりしている。両方とも手元に置くレコードであるがアナログ録音盤がターンテーブルに乗る頻度は多いような気がする。


ついでにカラヤンのグラムフォンで同じ第九を聴いてみた、このレコードはチューリップ・オリジナル盤である。雄大な音楽で音も素晴らしい、ウィーンとは違うベルリンの素晴らしい音楽を演奏してくれる、カラヤンは素晴らしいが演奏はウィーンの方が好きだと言うのが本音である。でも、チューリップ盤の音質は素晴らしい、ブルーラインでは絶対に出ない音である。
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有名なクレンペラー・フィルハーモニアはSAXオリジナル盤を持っている、余り好みではないので普段は聴かないがフランス盤で比べてみた。指揮者とオケが違うレコードを比べるのは好き嫌いの意味しかないが、ゆったりとした演奏で独特の響きがありSAX盤より遥かに好ましい、さすが名演と納得した。因みに試聴したのは全て第一・第二楽章のみである、第九は大概二枚組みであるがカラヤン・チュリップ盤は一枚に詰込まれているのが残念に思う。



仕事をしながらクレンペラー盤を聴いてみるとステージが目の前に広がっていることにあらためて気が付いた、ジャズに比べて音像が随分下がり、目の前にフィルハーモニアが展開している、素晴らしい。オーケストラはこれで決まりだ、空間再現のハードルが高いオペラはそのうちに聴いてみよう。


by hal4550 | 2014-02-27 06:00 | レコード