HAL4550

裏庭の英雄




長いあいだ拙宅の愛聴盤であったベートベン交響曲第三番英雄、なかでも第二次世界大戦末期のフルトベングラー・ウィーンフィルはウラニアのエロイカとして知られる緊張感のあふれる有名なレコードである。戦後、フルトベングラーの了承を得ずして発売されたこのレコードは発売後回収されて枚数の少ないコレクターアイテムである。

この初期盤を3枚持っているが、この名盤に対する疑問もあった、ピッチが速すぎるのと聴いていて不自然な部分があった。昨年、フルトベングラーの復刻CDがフランスtahra盤として発売され聴いて期待していたが、ことし1月ついにアナログLPが発売された。
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早速聴いてみると、素晴らしい出来具合である、不満だったピッチの早さも解消され、一番聴きたい第二楽章も二面全部に余裕で刻まれ、そのためか不自然な部分も無くゆったりとした演奏に聴こえる。第三楽章のホルン三重奏は牧歌的な印象すら与え、しかも第二楽章は英雄の死と葬送をテーマにした穏やかなアダージョで、明らかにナポレオンに献呈されるべきものでは無いことが分る。いや、この第二楽章により決定的になったと言う方が正しいかも知れない。ウラニア盤交響曲第三番は1944年12月19-20日ウィーン、ムジークフェライン大ホールで録音されている。演奏中に大砲の音が聴こえているので田舎の戦地で録音されたものと思っていたのだがムジークフェライン大ホールとは驚いている。このLP-BOXのキャッチコピー"もはや、ウラニア盤は役目を終えた"、と書いてある。いささか、云い過ぎであるが、云いたい事は良く分る。


Tahra盤フルトベングラー名演集LP-BOXは"ウラニアのエロイカ"の他に、"ハンブルクのブラ1"、"ベルリン1952年12月7日のエロイカ"、"ルツェルンの第九"など合計7枚組のLP-BOXである。先のAudite復刻盤14枚セットは二組買ったが、音質はともかく盤のゆがみがひどく閉口した、Tahra盤はそんなことはない、むしろ音質も格段に上っている。ブラ1も北ドイツ放送楽団とはいえ素晴らしい、ティンパニの連打に始まる第一楽章はコントラバスとファゴットの低域過剰かと思うほどだが、後に続く演奏を聴くとこのバランスは正しいものだった事が分るほど重厚なブラームスが流れるので感動している。



一緒に買ったETERNAの復刻盤、ペータシュライヤーの水車小屋の乙女も素晴らしい出来であった。水車小屋の乙女はペータシュライヤーは勿論、ディスカウも有るので要らないと言えばそれまでだが、やはり、このETERNA EDITIONは良い。
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by hal4550 | 2013-08-18 17:00 | レコード