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HAL4550

Rigid Float開発者

Rigid Floatの開発者であるVIVラボ社長の秋元浩一郎氏(41)にお越し戴いた。

Rigid Float 13"について疑問点も有りテストしてみたい事案もあったのでメールを入れておいたら翌日には直接電話を戴いた。

カウンターウェイトの貸出をお願いしたら快諾戴けた。そして、関西エリアでの試聴会の帰りに拙宅にお寄り戴くことになった。

氏については若干の予備知識を仕入れていたので、余りご負担になることは止めようと思っていたのだが、ご厚意に甘える事になった。

試聴会は盛会で私達は最後列に隅に座ったが、それでも音質の違いは充分感じ取れるもので有意義であった。主催者がポツリと漏らした一言でわたしの疑問が一瞬に氷解した。

こぼれないオイルの鍵は磁性流体であった。これは何処にも書いてないので秘密だろうと思ったが、秋元氏に聞いてみると確かに秘密らしいが、いつまでも秘密にしておけないのでブログに書いても良いとの了解を貰った。

磁性流体は一般的な技術だが用法容量が素晴らしいと思う。立ち入った事まで聞いたが全部書く訳にも行くまい。


さて、わたしが行いたかった実験は前にも書いたがカウンターウェイトをピボット近くまで寄せてアームの慣性トランジェントを改善してカートリッヂ感度を上げたいと思っていた。実際にテストしてみるのが一番の近道である。

ベースに接触して針圧印加不能

テスト結果は予想通りで、溝ノイズでも分るほどであった。磁性流体の特性を鑑み調整すると最良の結果が得られそうで、開発者でなければ聞けないマル秘情報の一部である。

ご持参戴いた新発売のターンテーブルシートであるが、これも実際にEMT927のプラスチックターンテーブルの上に乗せて試聴した。相当重いシートでSUS304ステンレスプレートらしいが、開発者の持論に基づく細工がされている。

それは驚くほど音粒が鮮明になる。アームだけでも十分優れているのに追い討ちである、素晴らしい。

お聴き戴いたレコードはご持参のテバルディのラ・ボエームと拙宅のRCAソリア・シリーズのKarajan/VPOのトスカであった。トスカはひどく気に入られた様子だったので進呈した。限られた時間を超過してしまい申し訳なかったが久々に楽しい時間であった。

秋元浩一郎氏の中には新しいアイデアがいっぱい詰まっていて会話が楽しい。誠実な人柄と技術に裏付けられた言葉運びが人々を虜にするだろう。今後、新しい視点でオーディオ界に新風を吹き込むことは間違いない。Rigid Floatはヒット商品で氏の新商品開発を手助けしているようで、シーョトタイプが好評らしい。スピーカシステムもバージョンアップを重ねられ近々リリースの予定と聞き楽しみである。

今日はディスカウの訃報を知り暗い一日の始まりだったが、楽しく一日が終われて幸せだった。ステンレスシートに馴れた我耳くんは、それがないと野太く聴こえると不満を云う。

# by hal4550 | 2012-05-20 01:45 | EMT | Comments(0)

SPU & CotterMK2

SPU-GEがやっと納得できる音で鳴り始めた。最後の決め手はRigid Float13"のレゾナンス環の調整であったが、CotterMK2の存在は大きい。当初に比べると全体が締まって音のピントが合うようになってきた、皮肉な事にEMT系に近くなった。オルトフォンは先祖だから当たりまえかも知れない。

これまでSPUはAudioCraft フォノイコライザPE6000sigunetureの3Ωに接続していたのであるが、改めて24Ω設定のCotterMK2に接続してみたら俄然良い音で鳴り始めた。そこでイコライザーをML-6LにしてダイレクトアウトをMM22Hに入れる構成に変更した。

そして、CotterMK2を3Ω設定に変更した。この状態でオーケストラも相当なレベルまで追い込めた。もっとも試聴しているレコードはラージDECCAとETERNA-Vステレオであるが、これ等が旨くなるようになれば当面の不満はなくなる。

最後はパイプのレゾナンス環を動かして位置決めをする。オーケストラの弦の制動が正確にコントロールされている状態に聴こえる。アームの共振が抑えられ付帯音が混ざり込まないのだろう。邦楽POPSでは子音のコントロールができ、女子ボーカルそのものが前に出てきたり奥に引っ込んだり面白いように変化する。レゾナンス環恐るべし。



拙ブログのアクセス解析によるとCotterMK2とML-6Lの訪問者は日常的に多い、この辺に興味を持たれるファンが多いのだろうと思う。

SPUとCotterMK2とML-6LはJAZZに限らず、クラシックにも良い組合せであると云える。更にインピーダンスマッチングと針圧調整により音のピントがきっちり合うようになる。

CotterMK2の設定表を掲載するので参考になれば幸いである。設定表は二種類あるので迷うが、わたしは代理店の設定を使用している。

日本の総代理店から入手した設定表


MA Cotterが販売店へ添付していた設定表 Type-S(20-100Ω) Type-P(6-30Ω) Type-PP(20-30Ω) Type-X(特別仕様)


MA Cotter MK2 TypeLが手に入れば文句無いのだが、いかんせCotterMK2の売り物が少ないのと断線の問題があるので迂闊には手を出せない。過って手元でテストしたものも二次側が断線していた。

しかし、断線しているものでも設定端子からジャンパーを出して簡易的に修復可能である。LRCテスターで巻線比も簡単に分る、これは大昔エルタスの本多さんに教わったが微少電流を扱うトランスは磁化により高域が濁るのでテスターで昇圧トランスにDCを流す事は推薦しない。しかし、鉛封入を溶かして修理するより簡単であると思う。

# by hal4550 | 2012-05-18 02:00 | EMT | Comments(4)

オイルフロート

Rigid Float 13"

Rigid(リジッド)Float(フロート)一見相反する言葉のようでもあるが、実はそうではない。

硬く浮いている、浮いているのだがしっかり固定するという意味だろうか。成程、取り付けたカートリッヂのレストを持つとフニァフニァであるがレコードをトレースし始めると溝をしっかりグリップする、針先を支点にしてピボットの方が浮いて回転する。面白い、針先は演奏中はトレースの負荷で半固定されるのでオイルフロートのピボットがレコード溝を針先が進んだ分だけ回転する訳である。ピボッドがベアリングであれば回転負荷で針先にストレスの影響が出る。そしてアームも共振するだろう。オイルフロートは単純明快だ、針先にピボッドの負荷はかからない。

今までも、グレイなどオイルダンプアームは存在していたが、取扱の不便さ注油など保守の面倒さから主流とは成り得なかった。それに加えスマートなアームは存在しなかった。アーム本体が重たいと感度は悪くなるので、アームは針圧と共に軽量化へ進んで行った。グレイの頃はカートリッヂ本体も大きくて針圧も重たいので、あれで良かったのだろうが今では好事家しか使わない。

さて、このオイルフロートがどのような構造でオイルがこぼれないのか非常に不思議だが、実際の取扱は簡単だ。近年カートリッヂは周波数特性を上げるために楕円針が主流になってきて丸針は余り好まれない傾向にある。しかし、ピボッドの回転負荷が無いのであれば丸針の方が接触歪みに対しても良いように思われる。

実際にTSD15の丸針と楕円針を聴き比べて見ても丸針の音は良い。普通のアームではトラッキングエラー角の大きい内周において楕円針はカッターヘッドとなる、そのための歪は大きく、ピボッドがフリーなオイルフロートやリニアトラッキングはこれを回避できる。カッターヘッドも特殊な楕円針でリニアトラッキングの構造である。

Rigid Float"13を使用してみて驚いたが、カウンターウェイトのネジが15cmもある。自重の重いSPUはバランスに苦労するがウェイトを追加してなるべくピボット近くで適正針圧を印加出来るようにしたい。いまは大小二個のウェイトを付けているが大大二個でテストしてみたい。これによりカートリッヂの垂直感度が確実に高まると思う。

そういえばVanDenHall(MCH-Ⅰ)はラインコンタクト針だったので比較するのも良いだろう。また、第一声の不満であったパイプの色斑は漆の塗りむらのようだ、余り気にはならなくなってきたが最初に凄く悪い印象を与えてしまった。


この会社のスピーカも面白そうで、いざ、鎌倉へ、行ってみるかという気になりかけている。


Viv laboratoryのホームページは以下の通り

http://www.vivaudiolab.com/Rigid_Float.html
# by hal4550 | 2012-05-15 16:38 | EMT | Comments(0)

CG25D

SPUは邦盤に良く合うが、クラシックには良いとは云えないのが昨日までの結果であった。

考えてみるとオルトフォンはEMTほど低域から高域まで帯域は広くないし空間再現も優れているとは云い難い。魅力は中域の力強さとしなやかさにあるように思う。リジッドなターンテーブルよりむしろ緩めのトーレンス124やガラード301、Linnが能力を発揮できそうなことは重々承知であるが、いまさらこれ等を持ち込む気はない。

わたしがSPUを使う意味を考えてみた。遍く巷のSPUファンは、その音色と雰囲気に惚れ込んでいると想像する。JAZZのひとは分らないが。

CG25DをRigid Floatに取付けてモノラルのレコードを何枚か聴いてみた、ピッタリくるのはディスカウの歌う冬の旅ALPS1298/9の初期盤であった。シューベルトの弦楽五重奏などより、ジェラルド・ムーア/ピアノとディスカウの歌う冬の旅は、しなやかさと力強さが自在に鏤められる。


もしやと思い、SPU-GEでピアノ伴奏のリートをかけてみた、案の定素晴らしい。SPUは邦盤に合うのでなく、音域の集中する声やピアノで良さが発揮できるようだ。それならオペラにも合いそうだと試してみたが、こちらはEMT系に分がありそうだ。雰囲気はSPUの方が大いに有るのだが、やはり細かいニュアンスは如何ともし難い。

ムーアの弾く打鍵の跳ね返りのフェルトの余韻の消え方がEMTでは味わえない魅力で演奏に憂いの感じが良く表現される。冬の旅を、このように聴くとベーゼンドルファの方がしっとりと憂いが聴こえる。そうするとデムス伴奏の冬の旅を聴いて見たくなり、レコードを棚より探し出しターンテーブルに乗せてかけてみた。

次にALPのベートーベンの歌曲集ディスカウ/ヘルタークルスト伴奏、このレコードも好きで昔から良く聴いているが、ピアノの音色は冬の旅のムーアの方が何倍も良い、憂いの有るディスカウの歌声は甲乙付け難いのだが。

更にパイプに付けられたレゾナンス輪を移動すると面白いように音色が変る、アームの共振点を見つけるのは根気の要る作業だろう。

先日送られてきたCG25Dは初期型で針とダンパーを慎重に選び交換されたもので、鳴きの少ない薄型のSPUシェルに取付けられた逸品である。オーディオニクス取扱のCG25Dにも興味がそそられるが、どうしたものか。
# by hal4550 | 2012-05-13 11:10 | EMT | Comments(0)

Rigid Float


OIL FLOATED TONEARM Rigid Floatが連休明けに届いた。注文して三週間後に納入される、多分受注生産品と思う。

海外製品ではなく純国産のトーンアーム、一回も聴いた事がなくAnalog誌で目にしたオイルフロートと云うストレートアームを注文した。SPUを一回使ってみようと思いアームを探していたのである。

待つこと三週間以上、想像していたものとは相当違った。ベースが大きく重たい。取り付けタイプではなくプレーヤの傍らに置いて使うものらしい。三本のネジで固定も出来るのだが。

値段からして有り得ない製品だ。それからパイプアームに色むらがあり、EMTやSMEなど上等な仕上げの製品を見慣れている所為か雑な仕上げである。使う気にも慣れず2日ほど放置していたが、頼んでいたオルトフォンのモノラルカートリッヂCD25Dが追い駆けて届いた。重い腰を上げ用意していたアームベースのタモ材に取付位置を合わしてみた。やはり高さが20ミリ高いのでマンションラックを加工しなければならない。

金色のベースを取り外してボードに直接取り付けようと思ったが簡単には外れそうもない。アームボードを25ミリ下げる作業が大変である。ラックを解体して硬いタモ材を電気鋸で正確に切り落すのに半日かかってしまった。憂鬱の原因は多分ここにあったと思う。そして、指定どおりベースをボードに固定せず置いて、SPU-GEを取り付け針圧を先ずは3gにして邦盤を鳴らしてみた。アームの感触はオイルフロート独特のぐらぐらである。

不思議な事にアームにとってはぐらぐらが最も良いらしい、自在に動き自動調整されるのだろうが感覚は慣れるしかない。レコードを次々にかけてみた。初めてリニアトラッキングアームを聞いた時の感触に似ている。予想以上に良いようである。邦盤は今までないような良い音でなっている。エテルナ・ロンドン・デッカ盤は驚くほど良い訳ではない。まだ、調整が必要と見えて、今のところリニアトラッキングを追い越す程ではない。

SPU-GEは三十年前に買って箱に入ったままの新品、まだまだエージングが必要なのか、それともダンパーが硬化しているか、針圧を指定の4gにすると分厚い低音が張りの有る中音と共にSPUらしいサウンドを出てくる。もうアームの存在は忘れている。わたし自身、EMTのカートリッヂにEMTのアームしか使ったことがなく他は知らないので話にもならないが、ともかく良さそうである。

古いブリキ箱に入ったシューアV15タイプⅢ、エンパイヤ4000DⅢ、デンオンD-103、それにSPU-GE、全部新品である。EMTに出会ってからエラック444やピッカリングは人に差しあげてしまった。まさか、30年過ぎて使うようになるとは思いもしなかった。Rigid Floatについては辛口で書いたが印象は大事である、どう化けるか楽しみである。


邦盤->SPU->Rigid Float->PME6000->MM22His->Telos2500->DD66000は旨く行きそうだ。

JAZZ->VanDenHal->EMT997->EMT139st->LNP2L->Mc3500x3->JBL4550に決まり。

クラシック->Brinkmann->GoldMund T3F->ML6L->MM22His->Telos2500->DD66000が良いかも。

暫らく遊べそうだし、買い溜めした邦盤が楽しみである。
# by hal4550 | 2012-05-12 01:49 | EMT | Comments(1)

エテルナ

なかなか気が乗らなくてオーディオはストップしたままだ。

連休中に地震対策と思っていたが、やはり、駄目だった。対策が終わるまではじっくりと向かう気もしない。

しかし、この一月間、無気力な日々を過ごしていた訳ではない。レコードが随分集まった。

それから太田垣蓮月箱書の釘彫煎茶碗5組が手元に来た、幕末の動乱を生き永らえた逸品だ、それに合う茶托を探している。

さてレコードであるが、邦楽50枚ほど、クラシツクがその倍はある。普段よりも沢山のレコードが集まったのは理由があるが、きっかけはレコード屋で耳にしたベートベンの四番コンビチュニー指揮ゲバントハウス交響楽団、フォンタナレーベルにある。
残念ながらそのレコードは他の人が試聴していたのでわたしの手には渡らなかったが、改めてコンビチュニーに興味を持ったことと、オリジナル初期盤はどんな音がするのだろうと漁り始めた。オリジナルは旧東ドイツのETERNAレコードである。イタリア盤やロシア盤と同じく粗悪であると謂われているらしいが、ものは試し、オークションでコンビチュニーゲバントハウス・ベートベン4番を落札した。ブラックレーベルの初期盤となっているが確かではない。音は極めて良い、それよりもコンビチュニーの演奏が素晴らしい、それに応えるゲバントハウスも流石である。


数年前にリベロさんがコンビチュニーを誉めたことが有った、没後記念のコンビチュニーCDは山ほど買っていた。まあこんなもんかと納得すると聴かなくなった、音楽に深みが感じられなかった。数年たって初期盤レコードで聴くと、改めてコンビチュニーの良さが分かった。リベロさんの書き込みがずっとひっかかっていただけに、ようやく納得できた。そのETERNAレーベルであるが黄色や青色、そして黒色のレーベルが有る。青色V字のレコードが初期盤で、ほとんどモノラルであるが、稀に青色Vのステレオ盤がある。素晴らしい音質であるが、印象としてはコロンビアの銀黒SAXのようである。良い音なのであるが少し物足りないように感じる。青Vステレオ盤は1964-68に発売され数は少なく希少価値の値段であろうが、SAX等に比べると格段に安い買得のレコードである。  モノラル最初期の青色フラット盤もあるが紹介は次回。
ドボルザーク・新世界・コンビチュニー・バンベルグ交響楽団

ウィーンフィル・ショルティ・アラベラからデ・ラ・カーサのハイライト

ETERNAも結構愛好者が多く、オークションではいつも同じ人と叩き合いになる、勝つ時もあれば負ける時もある、最近はそういうことも楽しみになってきた。一方では物を減らす努力をしながら、一方では買い続ける、不条理を感じられるだろうがカルマだから許してほしい。

それから連休前に頼んでいたRigid Floatアームが届いた。独自発想で創られたものだが、音は聴いていないが思ったような出来でなくどうしたもんかと思案中。
# by hal4550 | 2012-05-10 15:33 | レコード | Comments(0)

緊急避難の雪洞

ゴールデンウイークには悲惨な事故が沢山あり多くの人命が失われてしまった。わたしは、やはり気になるのが山で死んでいった人々のことである。ことしも8名の方が北アルプスで亡くなった。およそ遭難するようなところではないが全員凍死である、雪山の気候激変に対応できなかった、経験装備など批判することは容易いが自分の身に降りかかると逃げがたいことだろう。数年前に自分が判断を誤り、雪山で緊急避難を余儀なくされ雪洞を掘りビバークして一睡も出来なかったことが思い出される、それは今年と同じく気候が不安定で、北アの山々で6人が凍死した報道を思い出し身震いがした。

あまり思い出したくない記憶だが写真が出てきたので雪洞について、経験を書いてみたいという気になった。いずれ書きたいと思っていたが三年も過ぎてしまった。この年はいろんなことがあり頭も混乱していた。わたしと女房は雪山を40歳から始め20年ほど登っている。

2009年4月開山祭の前日、横尾は穂高や槍も雪崩で入山禁止になっていて、引き返す人、横尾小屋で粘る人、閑散としていた。わたし達は横尾での写真撮影に時間をとられ、蝶へ上がると決めたのは十二時を過ぎていた。蝶は何度も登っているし横尾から四時間もかからないので、蝶が岳小屋には遅くとも五時、最悪でも六時には着く予定だ。登り始めて一時間、急傾斜の道は凍った上に新雪が重なり、かなり難航した。12本爪のアイゼンとSimond NAJAのピッケル、ゴアテックスのカッパとヒートテック・フリース、コンロ・食料と写真機材、ザックは30キロ弱、テントとシュラフは小屋泊まりに変更したのでホテルに置いてきた。いつもは50キロの重装備の山行きなのに魔が差したのかテントとシュラフをザックから出してしまった。<この判断が大間違い>

トレースはついているが、雪山の道は三時ごろから急変する、雪が凍り始め、そして風も強くなる。歩き始めて六時間、まだ稜線には出ない、かなりへばってきた。この調子だと稜線に出ても風が強いし、稜線から小屋まで一時間はかかるだろう、森林地帯へ戻りビバークするのが何かと好都合だ。それに体力の有る間に雪洞を掘らないと行動不能になる、リスクを冒して小屋まで歩くよりビバークを選んだ。<この判断は正しかった>

稜線下の森林地帯でのビバークは何回か経験している。雪崩の危険も見極め易く風も弱いし、何よりも雪洞を作るための材料が集め易い。雪洞は大きな木の傍らの傾斜地に掘るのが良い、表面の凍っている雪をピッケルで割りながら二人分のスペースを掘るのだが、大きな木の周りは窪んでいて、他より掘り易い事を経験上知っている。それでも一時間はかかった。雪洞に倒木と小枝で蓋をして上から雪を被せる。二人が脚を曲げて横になれる80x160センチの緊急避難の雪洞、風を防ぐために出入り口はザックで塞ぐ、食料はザックの中には入れておかず、ラジオは付けっ放しにしておく。以前、食料を夜中に持っていかれたことがある、動物に襲われない為にも特に注意が必要だ。              

撤去時に撮影したので覆いの雪と小枝は大部分退けてある

顔にタオルをまき水分の蒸発を少なくする。

雪洞の深さは膝が立てるから60センチぐらい。

二人が交代で辛うじて寝返りができるスペース。

体温を保つために雪洞の底には小枝を敷きビニール袋に入れた衣類をクッション代わり。

着込めるだけ着込んでも夜中になると恐ろしく寒い。二重テントと羽毛シュラフでは-10度でも平気だったが、雪洞のなかは寒い、もしも稜線で風を防ぐ雪洞もなければ想像するだけでも恐ろしい。雪洞の中では一睡も出来ない、睡魔との戦いだ、気持ち良いほどに眠りの世界へ吸い込まれて行く。そのまま寝込んだらどうなるかは知らないが恐らく体温を奪われ二度と目が覚めないような気がする。一晩中昔話をしながら、会話が途切れたら揺り動かし、一睡もしなかった。時間の経つのが遅く感じられ四時過ぎが限界だった。幸いな事に空も白み始めたので、外へ出ると寒さは幾分か穏やかになっていた、コンロで雪を溶かして朝食を作る、そして五時前に雪洞を撤収して蝶が岳小屋へ向かった。稜線から300m足らずの森林上限地帯にビバークしていたことが分った。疲れも回復していたので小屋までは30分、蝶の小屋には宿泊客が2組、トレースはそのパーティのものだった。快晴の空に広がる槍穂高連峰のパノラマが眩しく美しかった。


徳沢園で六人が亡くなったことを知った。判断が生死を分ける、その場になると判断は難しい。不思議な事に、上に進む事は考えても、麓に下がる事は考えなかった。下った方が100%安全で楽なのに、不思議だ。


遭難された人々のことを思うと今この記事を書くのは躊躇われたが、拙ブログを読んで頂ける人はヤフー・グークル検索でたどり着く人も多く、山ヤの非常の時の参考になればと思い書いた次第。もしも、この記事を不快に思われる方が有りましたらコメント下さい、場合により本記事を削除いたします。






去年は雪の多い西穂高に上った。今年は開山祭で無事を祈ったが雪山には登らなかった。
# by hal4550 | 2012-05-09 09:02 | やま | Comments(8)

杞憂とは云えない



懇意にしている販売店の社長からメールの末文にこのような言葉を戴いた。



日本の四季から春と秋がなくなってしまい、冬からいきなり夏になってしまいますような、厳しい気候になってまいりました。
 Weather Reportのアルバムタイトルではありませんが、地球全体が"Heavy Weather"になってきましたようです。

 同時に、Mega Quakeが頻発する時期にも突入いたしましたようで、これが千年に一度の頻度といたしましたら、私達、誠に不運と諦めるしかございませんが、オーディオ機器のセットアップも「音質優先」か「地震対策優先」か、究極の選択を迫られます時代になってまいりました。




わたしは関西に住んでいるので、神戸の地震の恐怖は身に沁みている、二度とこりごりと思っている、しかし、身近な危機を再び感じることがない限り、どこか現実感に薄い。勿論、心情としては分かっているつもりだ。
だが、現実の姿は重量級プレイヤーを積み重ねたラックを作ったり、レコード棚とて高さ二メートル半にも及ぶものに三面囲まれている。スピーカも同様な高さが正面に鎮座している。わたしはこの中で、これ等に取り囲まれて一日の大半を過ごす。ここで仕事もしている。もしも今地震が来たら確実に死ぬだろうなと思いながらの毎日である。事務所に移動するよりノートパソコンを二台とiPadとiPhoneがあればよい。だから、余程のことが無いと事務所やサーバ室や客先へ出向くことが無い。

神戸の地震の直後は、このようなことは絶対に止めようと思って居た筈なのに、また、最近の地震の惨状をニュースで見聞きしても転倒防止を講じることもなかった。断層帯の真上に住んでいるのに、本当に喉元過ぎればなんとやらである。

これは音質優先の結果そうなったのではなく、住居環境の問題からきている。横に面積がなければ必然的に体積でカバーしようとする、それも段々高くなる。笑い事でなく人間止めますかオーディオ止めますかという最終段階である。



先ずは初心に帰り、いらないものは置かないことを徹底しようと思う、その前に物を買わないようにしようと思う。また、レコードラックは転倒防止金具を今度こそ取付ようと思う。悲惨な未来を嫌い居を海外へ移す人もいる、わたしは事情が許さないので、せめて対策だけはしようと思う。困ったことにスピーカはどうしようもなくなるべく近くでは聴かないようにしよう。


それからオーディオルームに非常準備品も置くことにしよう。二ケ所あった出入口も二年前にレコードラックで塞いだので一カ所になってしまった、非常時にラックを壊せる道具も準備して置かなければいけないような気になってきた   ......たいへんだ.....  

高層マンションも大変だろうが死ぬ確率は古い日本家屋のほうが圧倒的に高い、どうしたもんか。
# by hal4550 | 2012-04-10 16:39 | レコード | Comments(0)

百恵の色気

このレコードは以前からあるものではない、きょう4軒のレコード屋を廻って買ったものだ。


わたしはこの方面は全くの音痴である、諸ブログで見掛けた物を参考にした、従って自分の好みはゼロ。


思い立ったのはダーダさんのところで聴いた百恵が余りにも魅力的だったからである。


クラシックはシューベルトの鱒を何枚か聴いて、結局この一枚しか買わなかった、ズスケの一枚である。とても素晴らしい演奏で、ズスケはコンコーネ(教則)の全集を持っているが面白味のないバヨリン弾きと先入観が有った。なるほど真面目な演奏であるが、しっかりと五重奏団をコントロールしている素晴らしいコンサートマスターである。


ハックリベリーとリズムボックス、そして大阪の名曲堂とディスクJJの四軒廻って中島みゆき(7)百恵(2)荒井由美(2)山崎ハコ(2)八神純子(1)大橋純子(1)五輪真弓(1)渡辺貞夫(2)金子由香利(2)合計20枚買ってもズスケ一枚と同額だった。レコードがこんなに安く買えるのには驚いた。

そして、花ざかりのA面から聴いた。初めて聴く百恵ちゃんは随分と違う、違和感すら覚える、ダーダさんの百恵は柔らかくて色気がある、ほんの微かな色気、白桃のお尻がうっすらとピンクがかった微かな色気だ、そして鼻にかからない寸前の発音でスーッと突き抜ける高音は気持ち好い。うちで聴くと、それが突っ張った百恵になる、成る程、ダーダさんはこんな微妙な色気を追及していたのかと違いが分り嬉しくなった。

わたしのところでは百恵の色気はない、それは当然かも知れない。中島みゆきもまだまだである、いろいろ調整して機器を選べば可能性はあるだろうが、今はズスケの魅力の方が大事に思う。でも、ダーダさんの言いたいことが理解できて良かった。ダーダさんは、聴いてもらった百恵は完璧でなかったと云うだろうが片鱗が分ればその先は容易である。百恵ちゃんのあの色気が出せればたいしたものだと思う。A面も曲により録音と歌唱の良し悪しが有り私には悲願花が飛び抜けて良いように思う。
# by hal4550 | 2012-04-06 00:47 | レコード | Comments(6)

Five spot After dark

9to9の仕事も残すとこ一日になった。今日はとても嬉しいことがあった。

先日、Dardaさんとお会いした時には、その前日から日本で起こったとんでもない大問題を抱えていた。
弊社が管理している大学のコンピュータ4000台がログインできない問題が起こっていた。担当者からの電話で、ひと通り状況調査をして絶望的な障害であることが判明していた。でも、何とか出来るとの根拠のない自信もあったがユーザの全くログオンしない土日の深夜に作業をして月曜日の早朝に運用試験を行うつもりでいた。


ドメインサーバのプライマリーがアイソレートされ操作マスタの喪失、セカンダリーもレプリケートできないデッドロック状態であった。この種の障害はいままでに解決したことが無く、結局ドメインサーバの作り直しになる。


ダーダさんちで聴いた百恵ちゃんで心が安らぎ問題解析の自由度が広がった。ハワイからリモート接続で大学のサーバのレジストリーを数か所変更したらドメインサーバ同士がレプリケートし始めた。そして、問題はスッキリと解決できた。大学の方は今朝から無事に履修申請ができたようだ。本当に苦しみ抜いた数日間で、ぎりぎりのきわどさだった。


ダーダさんの恵比寿顔は人を幸せにする力を秘めている。問題解決には一旦離れてみることが必要だ、それがオーディオであれば、もっとも幸いだ。


本当に大変なことになる事態から生還出来て嬉しい。9to9 After Darkは大好きなCurtisFullerQ'tのFive spot After Darkからのもじりであるが、今なお、あのトロンボーンの軽快なメロディが頭の中を響き渡っている。


仕事は今晩、学生等にプレゼンテーションの指導をすれば完了なので、あさ、飛行機が出発するまでの二時間、女房とホテルのビーチで過ごすのも悪くないなと思い始めている。   つかの間の天国ハワイだ。
# by hal4550 | 2012-04-02 12:00 | JAZZ | Comments(1)

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